No.1124


 8月29日、この日から公開された日本映画「8番出口」をローソン・ユナイテッドシネマ小倉のIMAXで観ました。ゲームが原作のホラーですが、ゲームにはまったく関心のないわたしにとって退屈な内容でした。フジテレビ系の「世にも奇妙な物語」に出てくるようなエピソードを間延びさせた印象。正直、「映画化するほどの話?」と思いましたし、IMAXで観る意味はあまりなかったですね。
 
 ヤフーの「解説」には、こう書かれています。
「ゲームクリエイターの KOTAKE CREATE が制作した、異変探しゲームを原作にしたドラマ。無限にループする地下通路で、そこに迷い込んだある男性が8番出口を目指す。プロデューサー、小説家、映画監督として活動する『百花』などの川村元気が監督を手掛けている。『アナログ』などの二宮和也、ドラマ『VIVANT』などの河内大和らがキャストに名を連ねる」
 
 ヤフーの「あらすじ」は、以下の通りです。
「どこにでもありそうな地下鉄の駅に、ある男性(二宮和也)が閉じ込められる。そこは地下通路が無限にループする世界で、そこでは異変を見逃すことなく、万が一異変を見つけた場合はすぐに引き返すのがルールだった。もし異変が見つからなかったときは引き返さずに、最終的に8番出口を見つけてそこから外に出なければならない」
 
 映画「8番出口」の原作は、KOTAKE CREATEが開発したウォーキングシミュレーターのゲームです。プレイヤーは無限に続く地下通路に閉じ込められ、周囲を観察しながら「8番出口」を目指します。このゲームの最大の特徴は、「異変」を見つけることです。「異変を見つけたらすぐに引き返す」「異変が見つからなかったら引き返さない」「『8番出口』から外に出ることを目指す」といったルールに従って進行します。このゲームは、日本の地下通路やリミナルスペース、バックルームにインスパイアされているそうです。世界的に大ヒットしたとか。
 
 乃木坂46の賀喜遥香はゲーム好きアイドルとして知られていますが、彼女が「8番出口」のゲーム実況する動画が配信されています。彼女はまた、「8に愛された女」と呼ばれているとか。8月8日生まれで、出席番号は大体8番。オーディションのエントリーナンバーは18番でした。彼女は初期の頃から「8に愛された女」と自分で訴えており、エントリーナンバーと出席番号に関しては、サンシャイン池崎のネタを真似して自己紹介していました。実況動画は、コントローラーの持ち方が可愛いですね! ゲーム「8番出口」の続編として「8番のりば」もリリースされています。賀喜遥香はこちらの実況動画にも登場します。

「8番のりば」では地下鉄の車内が再現されていますが、現実で撮影されたのではないかと見間違ってしまうほどのリアルな再現度です。前作の「8番出口」と異なる点は、異変を探すのではなく、異変から逃げるところにあります。行く先では必ず異変が発生するので、その対処のためにプレイヤーは行動します。そのまま直進すればいいこともあれば、人の形をした何かから逃げることもあり、頭を使わなければ先へ進めないこともあります。異変に気づけないと振り出しに戻される前作と違って、今作は異変の対処法さえ分かれば確実にクリアできるので、誰でも遊べる難易度になっています。
 
 賀喜遥香といえば、7月30日に発売された乃木坂46の39曲目のシングル「Same numbers」(セイム ナンバーズ)」でセンターポジションを務めています。この曲は、日常の中で繰り返し現れるゾロ目(同じ数字の並び)に着目し、そこに宿る意味や運命について深く思索する歌詞です。この曲は、表面的にはデジタル時計のゾロ目という小さな出来事を題材にしながら、人生における偶然と必然、希望と現実、日常と特別な瞬間の対比を巧みに描き出しています。「8に愛された女」である賀喜遥香にぴったりの曲だと言えるでしょう。MVは千葉県銚子市の屏風ヶ浦で撮影され、祈りを表現した踊りを体現しています。センターを務めた賀喜遥香は「情熱と冷静が戦っていたり、自分達の葛藤をダンスで表現しましたので楽しんで頂きたいです」とコメントしています。
 
 話を映画「8番出口」に戻しましょう。そもそも原作ゲームには"物語"が存在しません。無機質な地下通路を舞台に、異変があれば引き返し、なければ前へ進む。正しければ「8番出口」に近づき、見落とせば「0番出口」に戻される。シンプルながら中毒性のあるゲームです。主演だけでなく、脚本にも協力したに二宮和也は「設定だけ借りて中身がめちゃくちゃになることを一番恐れていました。ゲームユーザーの方々がついてこられるような延長線上の物語にしたかったんです。同時に、ゲームを知らない人も楽しめるものにしたい。普遍的なものにするにしても、やっていることは地下通路を歩いているだけなので、単調になってしまう。どこに波を作るかは、現場で話し合いながら組み立てていきました。それが一番難しかったですね」

 映画「8番出口」はゲームの映像化ですが、とにかくストレスフルな作品でした。二宮和也が演じる主人公の男性は、元カノ(小松菜奈)からの電話で想定外の妊娠を知らされます。呆然としながら迷い込んだ地下鉄の地下道では、どうしても出口に行き着けず、堂々巡りをしますが、そのうち持病である喘息の発作も出て来ます。地下というのは無意識のメタファーでしょうが、彼の無意識ではものすごい量のストレスが溜め込まれていました。わたしは冒頭の、地下鉄の中で赤ちゃんが泣いている母親に対して切れる男性乗客に非常にストレスを感じました。わたしだったら、そいつに向かって「赤ちゃんが泣くのは仕方ないだろう!」と怒鳴り上げると思います。主人公の男性にとってもストレスだったようですが、地下での体験が映画のラストシーンでのカタルシスに繋がっていました。