No.1126
金沢に来ています。9月4日の夜、シネマネジメントの一環でサンレー北陸の幹部社員たちと日本映画「リンダ リンダ リンダ4K」をユナイテッドシネマ金沢で鑑賞しました。20年前の作品なのですが、すごく良かったです。大好きなブルーハーツの名曲が心に沁みました!
映画.com の「解説」には「『リアリズムの宿』の山下敦弘監督が、高校生活最後の文化祭で「ザ・ブルーハーツ」のコピーバンドをすることになった少女たちの奮闘を描いた青春映画。韓国の人気女優ペ・ドゥナが留学生ソンを演じ、『バトル・ロワイアル』の前田亜季、『ローレライ』の香椎由宇、ロックバンド『Base Ball Bear』の関根史織が共演。アメリカのロックバンド『スマッシング・パンプキンズ』のギタリストとして知られるジェームズ・イハが音楽を担当」と書かれています。
映画.com の「あらすじ」は、以下の通りです。
「とある地方都市の高校。文化祭を目前にしたある日、軽音楽部の5人組ガールズバンドのギタリストが指を骨折し、内輪揉めによってボーカルが脱退してしまう。残された3人のメンバーは途方に暮れながらも、成り行きから韓国人留学生ソンを新しいボーカルとして迎え、ザ・ブルーハーツのコピーバンドを結成。文化祭最終日の本番に向けて練習を重ねていくが......」
公式HPの「INTRODUCTION」には、「ゼロ年代を代表する珠玉の青春映画がcoming back!! 公開から20年経っても色あせるどころか、世界中にファンを増やし続ける珠玉の青春映画『リンダ リンダ リンダ』。熱いファンの想いは海を越え、アメリカでは本作タイトルにインスパイアされたバンドTHE LINDA LINDASが誕生するなど、世界的な現象も! 韓国のみならず、世界で活躍する俳優ペ・ドゥナが歌う、たどたどしくも心に響くブルーハーツの名曲たち、実際にドラムとギターに挑んだ前田亜季と香椎由宇のひたむきなたたずまい、演技初挑戦ながら女優たちと渡り合った本職ミュージシャンの関根史織(Base Ball Bear)。このコンビネーションを奇跡的な作品にまとめ上げたのは当時弱冠28歳だった山下敦弘監督。4Kデジタルリマスター版では、35mmフィルムの質感は残しながらも、細部をクリアに。誰もが心に抱く青春の記憶がより一層鮮やかに胸に迫る!」と書かれています。
いやあ、この映画は初めて観ましたが、想像以上の名作でした。〝ザ・青春映画"といった感じで、バンドメンバーの4人の女子高生がみんな可愛かったですね。それぞれの家庭にはそれぞれの事情がありそうでしたが、そこもまたリアルで共感できました。ただ難を言えば、いくつか「いくら何でも、それはやり過ぎだろう...」といった過剰な設定とか描写と思えるリアリティに欠ける場面がありました。20年前の松山ケンイチが登場するシーンもその1つですが、まあ、そこは大目に見ましょう。
それにしても、4人の女子高生を演じた前田亜季、香椎由宇、関根史織、ペ・ドゥナは全員可愛かったですね。今回の4K上映を機に20年ぶりに集まった4人は、思い出話に花を咲かせたそうです。今や韓国を代表する国際派女優のぺ・ドゥナにとっては、本作が海外で活躍するきっかけとなった作品でした。彼女は「『リンダ リンダ リンダ』の再上映は、私にとって最近で一番嬉しい知らせでした。私の周りの多くの方が、この作品が大好きだと言って下さるのですが、映画館で見逃してしまった方、DVDでしか見ていない方もいて、また、韓国ではDVDもなかなか手に入らないので。今4Kリマスター版で、上映していただけて嬉しいです。この作品は世代を超えて、そのクラシカルな部分でも情緒が保たれている作品だと思うので誇らしい気持ちです」と語っています。舞台挨拶では、松山ケンイチのサプライズ登場に大喜びしていました。
この映画、サンレー北陸の大谷賢博部長も一緒に観たのですが、高校時代のブルーハーツのコピーバンドを結成していたという彼は、20年前にも鑑賞したそうです。彼は、「高校生のバンド活動を描いた青春映画ですが、その背景には『人と人との繋がり』や『喪失をどう受け止めるか』という普遍的なテーマが流れていたのだと20年ぶりにこの映画を観て気づきました。言葉の壁や性格の違いに戸惑いながらも、同じ曲を演奏しようと試みる過程で少しずつ心を重ね合わせていく様子。その姿は、失われたものやうまくいかない現実を抱えつつ、新しい関係性を紡ぎ直していく人間の力強さを象徴しているように感じました」との感想をLINEで送ってきてくれました。
大谷部長は日本最初の上級グリーフケア士の1人ですが、「グリーフケアの観点からみれば、青春の日々の中には、友人関係のすれ違いや別れ、言葉にできない孤独といった小さな「喪失」が潜んでいるということにも気づかされました。大人から見れば些細な出来事でも、思春期の少年少女にとっては深い痛みとなることもあります。映画の中でソンが仲間に受け入れられていく姿は、『悲しみを抱えながらも誰かと共に生きる』ことの大切さを示しており、それはまさに原曲『リンダ リンダ』の歌詞にある『写真には写らない美しさ』なのだと思いました」との感想も送ってくれました。映画の中で、関根史織が演じる望が「本番はきっと夢中で覚えていないんだけど、こういう時間は忘れられないものになるんだよ」と、深夜の学校の屋上で言うシーンがあります。シリアスな彼女の言葉はすぐに茶化されていますが、わたしは真理だと思います。わたしにも、そんな忘れられない時間があったことを思い出しました。詳細は書きませんが、真夏の昼間に東京の四谷の喫茶店でアイスコーヒーを飲んでいたときの時間でした。
さて、「リンダリンダ」とは、日本のロックバンド、THE BLUE HEARTSのメジャーデビューシングルおよび楽曲であります。1987年5月1日にメルダックからリリースされました。作詞・作曲は甲本ヒロト。編曲はTHE BLUE HEARTSと浅田孟。1987年にTHE BLUE HEARTSがメジャーデビューした際のデビュー曲であり、同バンドを代表するナンバーです。歌詞の冒頭にある「どぶネズミ」という言葉は、ずっと周囲から認められず疎まれ続けてきた甲本ヒロト自身のことであるといいます。つまり、この曲そのものがグリーフケア・ソングなのです。スローなバラードが激しいロックに一転する爆発力は、最高のカタルシスを感じます。ちなみに、今年の5月30日に逝去した宗教哲学者で神道ソングライターの鎌田東二先生は古代ギリシャの哲学者アリストテレスの『詩学』を参照しつつ、「カタルシスとはグリーフケアの別名である」と喝破されていました。
Tonyさんと一緒に「リンダ リンダ」を熱唱♪
じつは、鎌田先生のカラオケ愛唱歌の1つが「リンダ リンダ」でした。わたしとも、何度も一緒に歌いました。鎌田先生は20年前に公開された映画「リンダ リンダ リンダ」を観られたのでしょうか? もし未見だったなら、今夜、わたしと一緒に金沢の劇場で観てくれたかもしれません。高校の文化祭のステージで「リンダ リンダ」を歌い切った瞬間、音楽が心の壁や言葉の限界を超えて、観客と演奏者をひとつに結びつける大きな力を持っていることに心を揺さぶられました。音楽を共に奏で、共に聴くことによって、「いま、ここにいる」人々は強く結びつけられます。大谷部長は「映画のラストシーンで『別れや喪失を抱えながらも、人は音楽や仲間を通して生きる力を取り戻せる』というメッセージが伝わってきました!」との感想を述べていましたが、まさにそんな音楽の力を訴え続けた人物こそ、鎌田東二その人だったのです!
カラオケで「リンダ リンダ」を歌う♪
甲本ヒロトと一緒にシャウト!