No.1141


 財団の儀式委員会の会議などを終えた夜、TOHOシネマズシャンテでイタリア、ドイツ、フランス、ポルトガル、中国、日本の合作映画「グランドツアー」を鑑賞。想像していた内容とは違って、あまり心に響きませんでした。
 
 ヤフーの「解説」には、以下のように書かれています。
「イギリスの統治下にあった1918年のビルマ(現ミャンマー)を舞台に、追いつ追われつする男女を描くラブコメディー。ある女性がビルマにいる婚約者と結婚するために現地を訪問するが、相手の行方が分からなくなってしまう。メガホンを取るのは『熱波』などのミゲル・ゴメス。『皇帝と公爵』などのゴンサーロ・ワヂントン、『アラビアン・ナイト 第1部 休息のない人々』などのクリスタ・アルファイアチのほか、クラウジョ・ダ・シウヴァ、ラン=ケー・トランらが出演する。第77回カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞した」
 
 ヤフーの「あらすじ」は、以下の通りです。
「1918年、イギリスの公務員エドワードはビルマ(現ミャンマー)のラングーン(現ヤンゴン)に駐在していた。彼の婚約者であるモリーがエドワードと結婚するために現地を訪れたものの、モリーがビルマに到着する寸前にエドワードが行方をくらましてしまう。モリーは消えたエドワードを捜してアジアを旅する」
 
 何を隠そう、わたしは、世界中を旅する映画というのが大好きです。その代表作といえば、なんといっても第29回アカデミー賞で作品賞を始めとした5部門を受賞したことで知られる「80日間世界一周」(1956年)でしょう。フランスの作家・ジュール・ヴェルヌの同名小説が原作です。1872年、主人公のフォッグは2万ポンドの賭けに勝利するため、気球・鉄道・蒸気船などを利用して80日間での世界一周を目指します。大プロデューサーとして知られたマイク・トッドがプロデュース、イギリス出身の若手監督マイケル・アンダーソンが監督。トッド自身の肝煎りで開発された「トッドAO方式」でワイドスクリーン撮影された大作で、日本を含む世界各国の多彩な風景をカラー撮影で楽しめる観光映画に仕上がりました。
 
 わたしは、ビデオやDVDで、もう数えきれないくらい「80日間世界一周」を見返しました。そして、まだ訪れたことのない異国の地への憧れが強まりました。この映画は、作品自体の魅力に加えてスポット出演した多数の有名俳優を探すお遊び要素があります。たとえば、しがない酒場のピアノ弾きはフランク・シナトラです。この作品以来、著名人が端役で出演することを「カメオ出演」と呼ぶようになりました。そして、この映画の最大の魅力はヴィクター・ヤングによるテーマ曲です。日本では、TBSの人気番組「兼高かおる 世界の旅」(1959年)のテーマ曲にもなりました。ワクワク感MAXの名曲ですね!
 
 大好きな「80日間世界一周」のような映画をイメージして鑑賞した「グランドツアー」ですが、まったく予想とは違った内容でした。そもそも1918年の設定にもかかわらず、主人公が日本を訪れたときには「激安の殿堂 ドン・キホーテ」の巨大看板が映ったり、時代考証がデタラメすぎます。現在、日本を襲っているオーバーツーリズムのデタラメさを連想して不愉快になりました。婚約を交わしているのに逃げるエドワード、追うモリーンの描き方も中途半端で、やたらとストレスが溜まる作品でしたね。

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