No.1140


 10月10日、会議や打ち合わせの合間を利用して、この日から公開された日本映画「秒速5センチメートル」を東京宝塚劇場の地下シアターで鑑賞。ものすごく感動して、最後はボロ泣きしました。今年の一条賞の大賞候補作品です!
 
 ヤフーの「解説」には、「『君の名は。』などの新海誠監督のアニメを、アイドルグループ『SixTONES』のメンバーで『夜明けのすべて』などに出演する松村北斗主演で実写化したヒューマンドラマ。小学校を卒業後に離ればなれになった少年と少女が、中学1年の冬に再会し、18年後に同じ場所で会う約束を交わす。主人公に思いを寄せる女性を『国宝』などの森七菜が演じ、青木柚や木竜麻生、宮崎あおい、吉岡秀隆などが出演。監督を『アット・ザ・ベンチ』などの奥山由之が務める」と書かれています。
 
 ヤフーの「あらすじ」は、以下の通りです。
「1991年春。遠野貴樹(上田大翔)と篠原明里(白山乃愛)は東京の小学校で出会い、心の距離を近づけていくが、明里が引っ越してしまう。文通を続ける二人は、中学1年の冬に栃木・岩舟で再会し、2009年3月26日に同じ場所で会う約束をする。2008年、東京で働く貴樹(松村北斗)は孤独な日々を送っていた。一方の明里もかつての思い出を胸に静かに暮らしていた」
 
 この映画の原作は、2007年に公開された新海誠監督の同名のアニメ作品です。一条真也の映画館「新海誠の世界」でも紹介した名作です。誰もが通り過ぎゆく日常を切り取った、切なくも美しいラブストーリー。一人の少年を軸に、ヒロインとの再会の日を描いた「桜花抄」、別の人物の視点から描く「コスモナウト」、そして彼らの魂のさまよいを切り取った「秒速5センチメートル」という3本の連作アニメーションから成っています。映像の美しさに定評のある新海監督の、光や風、天や草木などの自然描写は極上です。わたしも大好きなアニメ作品です。
 
 原作のアニメは60分でしたが、今回の実写版は121分の素晴らしい青春・恋愛映画に仕上がっています。雪や桜の花びらが落下するスピードは秒速5センチメートル、そして人と人とが出会う確率は0.0003%など、全篇にロマンティックな数字が散りばめられています。わたしは1日平均1万字ぐらいを書く人間なので「人が一生の間に出合う言葉は約5万語」というのは「そんなものかな?」と思いましたが、「人と人とが出会う確率は0.0003%」というのは心に刺さりましたね。すべての出会いに感謝したいと思いました。改めて思いますが、「縁」というものはじつに不思議であり、かつ偉大ですね!
 
 新海誠監督が「まさか自分の原作で泣くなんて思っていなかった」と言っていましたが、今回の実写版はある意味で原作アニメを超えた感動の仕上がりになっています。まずは、主演の松村北斗が最高に素晴らしい! 彼は一条真也の映画館「ファーストキス 1ST KISS」で紹介した今年2月公開のSF恋愛映画でも主演を務めましたが、いまや映画界の旬の俳優になりましたね。でも、旧ジャニーズ事務所の「SixTONES」のメンバーであることは今回初めて知りました。彼以外では、篠原明里の少女時代を演じた白山乃愛は東宝シンデレラのグランプリ受賞者ですが、ものすごく可愛かったですね。でも、彼女が成長して高畑充希になるのは違和感をおぼえました。乃愛ちゃんに顔が似てると言われる清野菜名か芳根京子に演じてほしかった!
 
 アニメ版でのテーマ曲だった山崎まさよしの「One more time, One more chance」は、今回、カラオケボックスのシーンでも歌詞なしで流れましたね。わたし、この歌、とても好きなんです。特に「いつでも捜しているよ♪ どっかに君の姿を♪ 交差点でも夢の中でも♪ こんなところにいるはずもないのに♪」という歌詞がたまらくセンチメンタルで、わたしのハートにヒットします。この映画では、エンドロールで米津玄師の「1991」という曲を流していましたが、これはイマイチでした。というか、この映画のテーマを反映しているとは思えませんでした。せっかく山崎の名曲があるのに、なんで米津を使うかな?