No.1178


 NETFLIXのアメリカ映画「ジェイ・ケリー」を鑑賞。11月21日に一部で劇場公開され、12月5日からは配信もされていますが、非常に好評です。わたしも観るのを楽しみにしていました。実際に観てみると、まさにわたしのために作られたような映画で感動。心に沁みました。
 
 ヤフーの「解説」には、「[Netflix作品]『ウルフズ』などのジョージ・クルーニー、『スペースマン』などのアダム・サンドラーらが出演するロードムービー。ヨーロッパを巡る旅に出た映画俳優と彼のマネージャーが、行く先々でそれぞれの人生を振り返る。メガホンを取るのは『マリッジ・ストーリー』などのノア・バームバック。『ジュラシック・パーク』シリーズなどのローラ・ダーン、『君が生きた証』などのビリー・クラダップのほか、パトリック・ウィルソン、グレタ・ガーウィグらが共演する」とあります。
 
 ヤフーの「あらすじ」は、以下の通りです。
「映画スターとして活躍するジェイ・ケリー(ジョージ・クルーニー)と彼を親身になって支えるマネージャーのロン(アダム・サンドラー)は、急きょヨーロッパを旅行することにする。行く先々でさまざまな人や出来事と出会いながら、二人は自分たちが下してきた数々の決断や大切な人たちとの関係、築いてきた功績を振り返る」
 
 この映画のジェイ・ケリーは60歳、演じるジョージ・クルーニーは現在64歳。そして、わたしは62歳。還暦を過ぎた男が自分の人生を振り返る物語は、わたし自身の人生のさまざまな場面を想起させました。ショービズ界での成功を目指すあまり、家族とのすれ違いが生まれてしまったことを後悔するシーンは涙が出ました。ジェイ・ケリーには2人の娘がいますが、あまり良好な関係ではありません。わたしは2人の娘とまあまあうまくやっていると(自分では)思っていますが、いくら仕事で成功を収めても家族と心が離れては「幸せ」ではないことを痛感しました。
 
 この映画が「まさにわたしのために作られたような映画」だと思った理由は他にもあります。この作品が映画スターの人生を描いていることです。みなさんもご存知のようにわたしは大の映画好きで、好きが高じてこれまでに数本の作品にチョイ役で出演しました。ですので、映画の主演を張るような大スターには憧れており、「どんな生活を送っているのだろう?」と興味が尽きません。しかし、映画「ジェイ・ケリー」を観ると、映画スターには他人を演じることへの不安、プライベートな場面での不自由とストレス、そして得体の知れない孤独があることを知りました。

ジョニー・デップと意気投合!
 
 
 
 最近、わたしは、わたしと同じ62歳のハリウッド・スターに会いました。ジョニー・デップです。デップが 約30年ぶりに監督した映画「モディリアーニ!」のジャパン・プレミア・レッドカーペットが行われ、わたしも招待されたのです。TOHOシネマズ六本木のVIPルームで初対面しましたが、最初にわたしが彼がデザインしたストールを示して、「ディス・イズ・ユア・アート!」と言うと、デップはすごく喜んでくれて「ワンダフル! ユー・アー・ベリーナイス!」と言って握手してくれました。わたしが「アイム・シックスティ・ツー・イヤーズ・オールド。ウイ・アー・ザ・セイム・エイジ、ユー・ノウ?」と言うと、「オー、グッド!」と言って肩まで抱いてくれました。長年の親友のように心が通じ合えた気がして大感激!
 
 それから、通訳役の志賀社長がわたしのことを「彼は日本で最も映画鑑賞している会社経営者なんだけど、ハーフ・ムービースターで、数本の映画にも出演している。また、映画の本を含む大量の著作を持つ作家でもある」と英語で紹介してくれると、デップは「オー・グレート!」と言って、「ドゥー・ユー・ライク・ムービー?」と訊いてきたので、わたしは「イエス。アイ・ライク・ムービー。アイ・ラヴ・ジョニー・デップ!」と言いました。会場中が笑いに包まれ、デップも大笑いしていました。詳しくは、ブログ「ジョニー・デップに会いました!」をお読み下さい。そんなふうにジョニー・デップはとてもフレンドリーな人でしたが、その後のイベントでのトラブルなどのニュースに接して驚いています。スーパースターである彼は、ジェイ・ケリーのように孤独と多大なストレスを抱えていたのかもしれません。

「孔子文化賞授賞祝賀会」のようす
 
 
 
 ジェイ・ケリーはイタリアの「トスカーナ映画祭」の功労賞を受賞し、その授賞式に父親や娘たちを招待しますが、誰も来てくれようとしません。自分のやってきたことが認められて表彰される晴れの場で誰も身内がいないことほど寂しいことはありません。わたしは2012年に、「孔子文化賞」を受賞するという栄誉に浴しましたが、ブログ「孔子文化受賞祝賀会」で紹介したように、同年5月18日、父をはじめとした家族や縁のあるみなさまに祝っていただきました。そのときの幸せな気持ちを思い出しました。そのとき、多くの拙著を編集された「出版寅さん」こと内海準二さんも祝って下さいましたが、ジェイ・ケリーにいつも寄り添うマネジャーのロン(アダム・サンドラー)の姿を見て、内海さんを連想しました。ロンはたった1人でジェイに付き添い、功労賞の受賞を祝いました。この先、もしわたしが何らかの賞を頂けることがあれば、誰よりも内海さんと一緒に祝いたいです!
 
 最後に、映画「ジェイ・ケリー」でのジョージ・クルーニーはとてもカッコ良かったです。老いた肌に厚いファンデーションを塗り、油性マジックで眉を描いたりしても、やはりカッコ良いです。劇中での彼のファッションもわたし好みで、大変参考になりました。わたしは「小洒落爺」というものを提唱しているのですが、まさにジョージ・クルーニーがお手本になりました。2年前に還暦を迎えたとき、正直、「ついに還暦か。俺もトシを取ったものだなあ」と思いましたが、還暦用に赤のネクタイ、ジャケット、帽子などを着用しているうちに「綺麗な色のファッションをすると気分が明るくなるし、元気になるな」ということに気づきました。そこで、今後はちょっとお洒落な老人を目指そうと思い、「小洒落爺」という言葉を思いついたのです。ちょうど、東京は赤坂見附のショットバーで内海準二さんと飲んでいるときに思いついたのですが、内海さんもバーのマスターも「いいね!」と言ってくれました。そんなことも思い出しました。