No.1207
1月30日の夜、この日から公開されたアメリカのSFアクション映画「ランニング・マン」をローソン・ユナイテッドシネマ小倉のIMAXで観ました。うーん、いかにもアメリカ人が好きそうな娯楽大作ですが、心に残るものはほとんどなかったです。イマイチでした!
ヤフーの「解説」には、こう書かれています。
「スティーヴン・キングがリチャード・バックマン名義で発表した小説を、『ベイビー・ドライバー』などのエドガー・ライト監督が映画化。逃げ切れば多額の賞金、捕まれば即死亡という過激なデスゲームに、一獲千金を狙う無職の男が挑む。主人公を『ヒットマン』などのグレン・パウエルが演じ、『ボーダーライン』シリーズなどのジョシュ・ブローリン、『シンシン/SING SING』などのコールマン・ドミンゴらが出演する」
ヤフーの「あらすじ」は、「ベン・リチャーズ(グレン・パウエル)は、重病を患う娘の医療費のためにリアリティショー『ランニング・マン』に参加する。その内容は、懸賞金狙いの視聴者が注視する中でハンターの追跡から30日間逃げ切ることができたら賞金、捕まったらテレビカメラの前で直ちに殺されるという究極のデスゲームだった」です。
キングの原作『ランニング・マン』は過去にも映画化されています。アーノルド・シュワルツェネッガー主演の「バトルランナー」(1987年)です。殺人ゲームを描いた作品ですが、シュワルツェネッガーを主役に据えたにもかかわらず盛り上がらない凡作として知られています。同じ原作からの2度目の映画化という点について、ライト監督は「2度目の映画化は、ある意味で特別なチャンスです。前回と同じように作る必要はないですし、1回目の映画化作品からどう逸脱するか、その理由を見つけられれば、2回目でも最高の映画ができるはずだからです。僕が気に入っている過去の例では、『ハエ男の恐怖』(58)とデヴィッド・クローネンバーグ監督の『ザ・フライ』(86)ですね。両方とも、それぞれの魅力を満喫できました」と語っています。
グレン・パウエルが演じる主人公ベン・リチャーズは仲間思いのナイスガイですが、そのおかげで会社に反抗し続け、「要注意人物」に認定されます。次々に勤務先を解雇されるリチャーズでしたが、病気の愛娘のために薬代を稼ぐために、TVのチャレンジ企画に応募します。最初はTBSの「筋肉番付」や「SASUKE」みたいな障害物競争に出ていた彼でしたが、その闘争本能の凄まじさを買われて、プロデューサーから30日間逃走し続けるリアリティ番組への参加を持ちかけられます。それは、より放送を開始し、2024年に20周年を迎えたフジテレビのバラエティ番組「run for money 逃走中」をさらに過激にしたようなハンターvs逃走者の鬼ごっこでした。
「run for money 逃走中」において、「逃走中20th記念プロジェクト」の1つとして劇場用映画「逃走中 THE MOVIE」が製作され、2024年7月19日に公開されました。高校時代に陸上部だった6人は良き仲間でありライバルとして切磋琢磨しながらも、高校卒業後は別々の道を歩んでいました。そんな6人のもとに「参加人数1000人以上」「エリアは東京23区内」「賞金総額1億円以上」という史上最大規模で開催される「逃走中~MISSION IN TOKYO~」への招待状が送られます。ゲーム内で再会するもかつての絆を失った6人でしたが、突如としてゲームが乗っ取られ暴走を始めます。「賞金100億円か、消滅か」のデスゲームと化した逃走中に6人は翻弄されていくのでした。
わたしはあまり観たことがないのですが、TV番組「run for money 逃走中」も20年も続くのですから、こういう鬼ごっこが好きな人は多いのでしょう。そのアルティメット版のような「ランニング・マン」のようなリアリティショーを好む人も、日本人とかアメリカ人を問わずに多いのかもしれません。でも、わたしの率直な感想は「くだらねえな」です。こんなもの観るならスポーツの試合の中継か、アクション映画を観た方がいいです。TV局が国民(愚民?)を洗脳しようとしているという陰謀論も既視感がありすぎて白けました。「スティーヴン・キングも大したことないな」とも思いました。
ただ、この映画で怖いなと思ったのは、AIよるディープフェイクの技術です。主人公リチャーズがカメラに向かって訴えた視聴者へのメッセージが、まったく違った攻撃的な内容に変えられるのです。ディープフェイクは、主に「GAN(Generative Adversarial Network:敵対生成ネットワーク)」というAI技術を使って作られます。GANは、偽物を生成する「生成器」と、それが本物か偽物かを判定する「識別器」が互いに競い合うことで、非常にリアルなコンテンツを作り出すのですが、AI技術の進化により、ディープフェイクの作成は容易になり、悪用されるケースが増えています。
政治家になりすまして虚偽の情報を発信し、世論を操作するなどのケースもあれば、企業の経営層になりすまして金銭を要求するなど、詐欺に利用されることもあります。他人に成りすまして顔認証システムを突破しようとする試みも報告されています。さらには、生成AIの画像編集機能を悪用し、性的なディープフェイクを作成する被害も増えています。数々のホラー小説で、さまざまな恐怖を描いてきたスティーヴン・キング、は最も新しくて最も怖いものとして「ディープフェイク」を登場させたのかもしれませんね。


