No.1262


 小倉コロナシネマワールドで、アイルランド・アメリカ・イギリス・ドイツ合作映画「ひつじ探偵団」を観ました。高い評判だったので期待しましたが、本格ミステリーでありながら、グリーフケア映画の名作だったので驚きました。あと、羊たちが喋るからファンタジー映画でもありますね。
 
 ヤフーの「解説」には、こう書かれています。
「ドイツの作家レオニー・スヴァンによる小説を実写映画化。ある羊飼いが死体で見つかり、彼が世話をしていた探偵小説好きな羊たちが主人の死の真相を追う。『ミニオンズ』シリーズなどのカイル・バルダが監督、『ハングオーバー』シリーズなどのクレイグ・メイジンが脚本・原案を担当。羊飼いを演じたヒュー・ジャックマンをはじめ、オスカー俳優のエマ・トンプソン、『ハートビート』などのニコラス・ガリツィンらが出演するほか、パトリック・スチュワート、ブライアン・クランストンらが羊の声優として参加している」
 
 ヤフーの「あらすじ」は、以下の通りです。
「イギリスの田舎町。愛する羊たちと暮らす羊飼いのジョージ(ヒュー・ジャックマン)は、毎晩羊たちに探偵小説を読み聞かせていた。ある日、ジョージが遺体で発見される。彼の読み聞かせを楽しみにし、物語を理解していた羊たちは主人の死が事故だとは信じられず、犯人を見つけ出そうと捜査に乗り出す。手掛かりを追ううちに、ジョージには巨額の遺産があったことが判明する」
 
  原作は、ドイツの作家レオニー・スヴァンの世界的ベストセラー小説です。アマゾンには「映画化原作のもふもふミステリ、ついに復刊!」として、「『わたしたちのご主人が殺された!』アイルランドののどかな村で、ひつじ飼いのジョージが殺されたから、さあたいへん。ひつじたちは上を下への大騒ぎ。主人の無念をはらすため、世界一賢いひつじミス・メイプル、武闘派ひつじのオテロ、超記憶力を持つひつじモップルら、数十匹のひつじたちは、事件の調査に乗り出した。やがて明らかになる、死体に付いた謎の痕、村人たちが隠していた秘密、不可思議な女の存在・・・・・・。深まる謎を解き明かすため、ひつじたちは大胆な行動に出る! むくむく可愛いひつじたちが謎に挑む、ひつじエンターテインメント小説」と書かれています。
 
 まず、この映画、羊飼いのジョージを演じたヒュー・ジャックマンがとても良かったです。一条真也の映画館「ソング・サング・ブルー」で紹介した映画でジャックマンが演じた歌手役とはまたイメージががらりと違っていました。そして、何といっても羊たちが可愛い。羊は単独行動が苦手で群れをなす性質があり、人間の顔や仲間の表情を記憶できる程度の知能を備えているといいます。あの"もふもふ"した外見は見ているだけで癒されますね。この映画のヒットによって、世界中で"もふもふ"ブームが起こるのではないでしょうか?
 
 羊飼いのジョージは、毎晩羊たちに探偵小説を読み聞かせていました。「どうせ、羊に理解できるはずがない」と高をくくっていたジョージでしたが、じつは彼らはしっかり理解していたのです。中でも好奇心旺盛で像能明晰なリーダー役のリリー。抜群の記憶力と食欲をもつ、リリーの親友であるモップル。この2匹を中心に、大好きなご主人様を殺した犯人を突き止めます。その推理は証拠品に基づいた本格的なもので、多くのレビュアーは「まるでコナン」などとコメントしています。わたしは『名探偵コナン』のコミックを詠んだことがなく、アニメも映画も観たことがないので、「まるでコナン」と言われてもよくわからないのですが。
 
 羊たちには、いろんな習性があって、牧場の外の道路に出ることを恐れるとか、本当に怖いこと(屠殺されて食肉にされることなど)は記憶から除外して忘れてしまいます。この物語に登場する羊たちは、「羊は死んだら雲になる」と信じており、その"もふもふ"した死生観は素敵だなと思いました。多くの文化で、羊は犠牲獣(神への供え物)や神聖な存在として扱われました。また、干支(十二支)の1つであるように、平穏や群れをなす調和の象徴ともされています。でも、冬に生まれた羊を仲間はずれにする描写があり、そこは見ていて可哀そうでした。でも最後は、その冬生まれで仲間外れの子羊が大活躍します。素晴らしいメェ~場面でした!
 
 この映画、グローバル版予告編が解禁されるやいなや、その独創的でシュールな世界観が人々を魅了し、あらゆるSNSを通じて瞬く間に拡散したそうです。アメリカの有力紙によると、YouTubeでの公開後、わずか24時間で再生回数2500万回を突破したそうです。これは実写動物映画の予告編としては歴代最高クラスの驚異的なロケットスタートでした。さらに、羊たちが「犯人は絶対メイドだよね」と毒舌を吐きながら推理を開始する衝撃のシーンがTikTokやXで瞬く間に拡散。関連動画の総再生数は一気に1億回を突破し、世界中で「 #TheSheepDetectives 」のハッシュタグがトレンド入りする事態に発展。また、海外メディアからも「ヒュー・ジャックマンのキャリア史上最も"予想外"で"愛らしい"プロジェクト」と評されたとか。
 
 人類と羊の関わりは約1万年前のメソポタミア(現在のイラク・トルコ周辺)で始まりました。肉、乳、そして衣類や帆の材料となる毛皮を提供し、人類の文明と交易の拡大を根底から支えてきた最も重要な家畜の1つです。そんな羊たちが、大好きなご主人のジョージが亡くなったことを心から悲しみ、その死を悼みます。これが事故だと信じようとしない羊たちは、最も賢いリーダーのリリーを筆頭に、老若雄雌の羊たちが結束して捜査を開始。手がかりを追ううちに、ジョージには47億円の巨額な遺産があったことが発覚するのでした。それにしても、嫌なことは忘れる習性があるにもかかわらず、「ご主人様のことを忘れずに憶えておこう」と決心する場面は泣けます。羊たちは、ジョージを殺した真犯人を探すことによって、死別のグリーフをケアするのでした。グリーフケアの名作である「ひつじ探偵団」を多くの方に観ていただきたいと心から願います。鑑賞後は、きっと心が"もふもふ"することでしょう。