No.1266
5月22日から公開の日本映画「ミステリー・アリーナ」をローソン・ユナイテッドシネマ小倉で観ました。わたしの大好きな堤幸彦監督の新作とあって楽しみにしていたのですが、正直これは期待外れでした。主演の唐沢寿明の怪演も空回りしていましたね。原作が映画向きではなかったのかな?
ヤフーの「解説」には、こう書かれています。
「深水黎一郎の小説『ミステリー・アリーナ』を実写化したミステリー。正解者に賞金100億円が贈られる推理クイズ番組の挑戦者たちが、番組に隠された恐ろしい秘密を知る。監督は『Page30』などの堤幸彦。『ラストコップ』シリーズなどの唐沢寿明、『星の子』などの芦田愛菜、ドラマ「そばかす」などの三浦透子のほか、鈴木伸之、トリンドル玲奈、玉山鉄二、浅野ゆう子らが出演する」
ヤフーの「あらすじ」は、以下の通りです。
「樺山桃太郎(唐沢寿明)が司会を務める推理クイズ番組『ミステリー・アリーナ』に、予選会を勝ち抜いた一子(芦田愛菜)、ギャンブル(鈴木伸之)、レジェンド(玉山鉄二)、仏滅(奥野壮)、エジソン(野間口徹)、あのミス(浅野ゆう子)が挑む。正解者不在によるキャリーオーバーで100億円に達した賞金を狙う彼らは『嵐の中、孤立した洋館で起きた殺人事件』という問題を推理していくが、樺山から不正解者は収容施設に送られると宣言される」
原作者の深水黎一郎は、1963年、山形県生まれ。慶應義塾大学卒業。2007年に『ウルチモ・トルッコ』で第36回メフィスト賞を受賞してデビュー。2011年に短篇「人間の尊厳と八〇〇メートル」で、第64回日本推理作家協会賞を受賞。2025年刊の『ミステリー・アリーナ』は同年の「本格ミステリ・ベスト10」で第1位に輝きました。アマゾンには、「連続殺人に挑むのはミステリー読みのプロたち――。15ある解決案のどれが真相か? 嵐で孤立した館で起きた殺人事件! 国民的娯楽番組「推理闘技場(ミステリー・アリーナ)」に出演したミステリー読みのプロたちが、早い者勝ちで謎解きに挑む。誰もが怪しく思える伏線に満ちた難題の答えはなんと15通り! そして番組の裏でも不穏な動きが・・・・・・。多重解決の究極 にしてミステリー・ランキングを席巻した怒濤の傑作!!」と書かれています。わたしは未読なのですが、これは面白そうですね。
原作小説では、ミステリー・アリーナの舞台に立つのは15人となっていますが、映画では6人の解答者に変更されています。その6人を芦田愛菜、鈴木伸之、玉山鉄二、奥野壮、野間口徹、浅野ゆう子が演じていますが、いずれも訳アリのクセ者という設定ながら、その半生がスクリーンを通して伝わってきたのは芦田愛菜が演じた一子だけでした。野間口徹が演じたエジソンは新薬の開発をする元研究者、浅野ゆう子が演じた「あのミス」は元人気ミステリー作家。この2人の過去はもっと詳しく描けば興味深かったように思います。
6人の解答者以上にインパクトが大きかったのが司会者の樺山桃太郎。アフロ頭に大ぶりのメガネ、そしてジェームズ・ブラウンみたいな衣装に身を包んだ樺山は、全国民が熱狂する生放送のド派手な推理クイズ番組「ミステリー・アリーナ」に颯爽と登場し、「ミステリーを愛し、ミステリーに捧げ、ミステリーと生きるすべての方へ―誰よりも早く、誰よりも正確に、この謎を攻略するのは果たして誰だ?論理とひらめきの先にある、頭脳と知性の闘技場―ようこそ『ミステリー・アリーナ』へ!!」と叫んで、大いに盛り上げます。
「ミステリー・アリーナ」というクイズ番組の演出ですが、昭和の香りがプンプンするところはわたし好みだったのですが、ダンスパフォーマンスをはじめ中途半端な印象でしたね。ここは、もっと「くどく」行っても良かったのではないでしょうか。競技のルールがわかりにくかったのですが、"嵐の中、孤立した洋館で起きた殺人事件"の真犯人を当てるという設定は、ミステリー・ファンにはたまらないのかもしれません。司会の樺山が出題するミステリーの各所に仕掛けられたミスリードをかいくぐり、論理的に文章を解読し、仕込まれたヒントから犯人の特定とトリックを解き明かす推理合戦を繰り広げます。
樺山桃太郎を演じたのは、わたしと同じ1963年生まれの唐沢寿明。6月3日生まれですから、あと少しで63歳になります。年齢を感じさせないエネルギッシュな演技でしたが、樺山桃太郎があまりにもハイテンションなので、空回りしているように思えました。もともとファンキーな一面がある人だそうですが、還暦を超えての怪演にはどうしても引いている自分がいました。樺山のアシスタントを演じたトリンドル玲奈はすごく良かったです。彼女の出演映画の中では、最も存在感があったのではないでしょうか。
公開記念舞台挨拶で、堤監督は台本と原作を読んだ時に難しさを感じたといいます。「推理もの、ミステリーものだけだったらいくつも経験あるし、ちょっと面白いバラエティーショー的なものも経験あるんですけど、同時ミックスは...。しかもどんどん結論が変わってくる」と悩んだことを打ち明けました。そんな中、主演を務める唐沢寿明から「アフロでいいんじゃない」と声を掛けられたそう。「その一言で全てが見えました」と唐沢の言葉に救われたことを明かしています。今作で、堤監督は映画監督作品60作品を迎えたとか。それを舞台挨拶で紹介されると「あくまで通過点。あとどれくらい撮れるか。今70歳ですけど、まだまだやっていきたいです」と意気込みました。
その堤監督の61作目が「hinata」です。同作の舞台は、故・沖村ひなたの葬儀の場。集まった20名の男女は、司会者から「故人の意向により、20名全員が弔辞を読み上げること」を告げられます。友人として、追っかけのファンとして、アイドルグループの同期として・・・・・・。さまざまな関係を持つ彼らが読み上げる弔辞からは、人物像はおろか、男性か女性かさえも全く異なる「沖村ひなた」の姿が浮かびあがり、混乱を来たす葬儀の場の一室で、「沖村ひなた」の正体をめぐる前代未聞の物語が展開していきます。そのような弔辞ミステリーだそうですが、これはすごく面白そうですね! もともと、わたしは「20世紀少年」三部作や「トリック劇場版」シリーズなど堤作品の大ファンなので、「hinata」の公開が今から待ち遠しい!


