No.1294
6月21日の日曜日、日本映画「劇場版『旅人検視官 道場修作』」をローソン・ユナイテッドシネマ小倉で観ました。BSの人気ドラマの劇場版だそうですが、わたしは未見でした。それでも、映画はとても面白かったです!
ヤフーの「解説」には、こう書かれています。
「亡き妻の残した雑記帳を手に俳句にまつわる地をめぐる警視庁の元検死官を内藤剛志が演じるドラマシリーズの劇場版で、正岡子規ゆかりの愛媛を舞台にしたサスペンス。松山を訪れた主人公が転落事故に遭遇したことをきっかけに、20年前に東京で起きた未解決事件の真実に迫っていく。共演は羽田美智子や櫻井淳子、田口浩正、里見浩太朗、柄本明など。監督をドラマシリーズ第6作『「旅人検視官 道場修作」長野県 車山高原殺人事件』などの兼崎涼介が務める」
ヤフーの「あらすじ」は、以下の通りです。
「元警視庁検死官の道場修作(内藤剛志)は、亡き妻が残した雑記帳を手に愛媛の松山を訪れる。俳句仲間と過ごした道場は、ある出来事に違和感を抱き、その違和感が20年前に東京で起きた未解決事件へとつながっていく。事件に疑問を持ち続けた唯一の刑事、真実を追い求める若い鑑識官などの記憶をたどる道場は、事件の真相に少しずつ近づいていく」
「旅人検視官 道場修作」は、2023年からBS日テレの不定期放送枠「令和サスペンス劇場」にて放送中のテレビドラマシリーズです。かつて警視庁で検視官を務めていた主人公・道場修作が定年退職後に訪れる俳句ゆかりの地で殺人事件に巻き込まれ、自身の正体に気づき弟子入りを志願する若手鑑識係とともに殺人事件の真相に迫っていくサスペンスドラマとなっています。弟子入りを志願しアドバイスを求める鑑識員に対し、定年退職し警察官ではないことを理由に固辞はするが鑑識員と電話でやり取りをしつつも独自のやり方で事件の真相に迫り、解決へ導いたところで1人帰京するまでが作中のパターンだとか。ちなみに主演の内藤剛志は現在71歳の大ベテラン俳優ですが、これまでの出演作の9割が刑事ドラマだそうです。
本当はドラマの劇場版とは知りませんでした。映画館を予約した直後にそれを知って「しまった!」と思ったのですが、予習なしに初見でも物語にはすっと入っていけました。わかりやすいストーリーであることに加えて、説明が多かったからです。とても面白く、また舞台となった松山の魅力もふんだんに紹介されていました。松山の名所や名物料理、郷土の偉人・正岡子規の生涯、内子町の和蝋燭など・・・・・・テレビの情報番組かと思うほど、情報がてんこ盛りでした。その上、ハラハラドキドキのサスペンスドラマも楽しめるので、とてもお得感がありました。各テレビ局が力を入れて来た2時間サスペンスというのは日本が誇るエンタメ・コンテンツであることを痛感しましたね。
映画の中の観光案内の中でも、最もわたしの目を引いたのは道場が宿泊した「奥道後 壱湯の守」という温泉ホテルでした。全長150メートルのガラス張りパノラマビューの開放感あふれるロビーも素晴らしいですが、「湯の山図書館」というホテル内のライブラリーも興味深かったです。地元の名士たちの所蔵した書籍の保存、公開を目的とし、蔵書約2万5000点(公開は約3000点)の郷土の偉人、文化を中心とした古書を図書館ホテル(ブックホテル)として知られているとか。リゾートホテルにありがちなチープな図書室ではなく、『子規全集』の初版が置いてあるような本格的なものでした。ぜひ、ここは訪れてみたいと思いました。ただ、このホテルの敷地内で殺人が起きるのですが、これはホテルのイメージ上いかがなものでしょうか? じつは、わが社の松柏園ホテルにも「殺人事件の舞台に使いたい」という映画やTVドラマのオファーが何度も来ましたが、すべてわたしが丁重にお断わりしてきました。
「ぜひ一度訪れてみたい」「泊ってみたい!」とわたしに思わせた「奥道後 壱湯の守」でしたが、副支配人役の川上千佳子を演じた友近が素晴らしい存在感を放っていました。本名が友近由紀子である彼女は、1973年(昭和48年)、愛媛県松山市市坪北出身。松山市立石井小学校、松山市立南中学校、松山東雲高等学校、松山東雲女子大学人文学部を卒業した生粋の松山っ子です。大学卒業後は愛媛県内の旅館・大和屋で1年ほど仲居をしていただけあって、道場修作に料理を運んだり、その説明をしたりする芝居はまことにサマになっていました。特に、鯛の造りを見た道場が「きれいですね」と言ったとき、すかさず「わたしのことですか?」とボケをかまして道場を笑わせた場面には自然なホスピタリティーを感じました。演歌歌手でもあり、芸達者の友近ですが、やはり本業はお笑い。最近では、ブログ「地獄に堕ちるわよ」で紹介したNETFLIXドラマのパロディをYouTubeで披露し、動画は200万回を超える再生数となっています。友近は昭和の大思想家・安岡正篤をたぶらかす細木数子の役を演じていましたが、抱腹絶倒の面白さでした!
ドラマ「旅人検視官 道場修作」はこれまで7話が放送されていますが、それぞれのエピソードにはヒロインが登場します。「男はつらいよ」シリーズのマドンナみたいな存在ですが、道場の心には亡き愛妻が棲んでいるため、彼が彼女たちに恋心を抱くことはありません。一方、彼女たちは亡き妻に愛情を注ぎ続ける道場に好意を寄せるのでした。その顔ぶれですが、中山忍、いしのようこ、財前直見、水野真紀、清水美砂、森尾由美、有森也実という豪華メンバー。わたしの世代には眩しい女優たちです。そして、本作「劇場版『旅人検視官 道場修作』」では、羽田美智子が出演。わたしは学生時代に彼女のファンだったので嬉しかったです。日本アカデミー賞で、彼女が1995年に「RAMPO」で新人俳優賞、1996年に「人でなしの恋」で優秀主演女優賞を受賞した頃は最高に輝いていました。もちろん当時の松竹の大物の後ろ盾もあったのでしょうが、女優としても才能豊かだったと思います。あれからもう30年が経過したのですね。
本作のキャスティングの中で、内藤剛志演じる道場修作の亡き妻・由美子を演じたのは、南果歩でした。ドラマシリーズには登場しておらず、この劇場版のみの出演となります。由美子は俳句が趣味で、俳人ゆかりの地を夫と旅することが夢でした。しかし、検視官の仕事が忙しかった修作にはそんな時間はなく、由美子の生前には一度も旅行に行けませんでした。由美子の死後、「開かない 旅の雑誌が もう五冊」という由美子の句を見て泣き崩れる修作。そして、妻の一周忌に遺品のノートを見つけます。その中には由美子が行きたかった場所のメモが書かれていました。生前どこにも連れて行ってあげられなかった罪滅ぼしとして、修作は定年退職後に由美子のノートと一緒に旅を続けているのでした。修作の旅はまさにグリーフケアそのものですが、南果歩といえば、一条真也の映画館「君の忘れ方」で紹介したわが原案映画で、坂東龍汰が演じる主人公・昴の母親である洋子を演じました。彼女は過去に愛する夫を殺されており、執拗に犯人を捜し続けます。その様子には鬼気迫るものがありましたが、それはそのまま彼女にとってのグリーフケアになっていました。
妻と松山城から松山市街を望む
最後に、わたしも道場修作のように日々忙しくて、なかなか妻を旅行に連れて行ってあげられません。唯一の例外が、毎年9月に行われる全国冠婚葬祭互助会連盟(全互連)の総会オプション観光です。全国各地で開催される全互連の総会は夫人同伴ということになっており、総会の翌日にはゴルフ組と観光組に分かれるのです。もちろん、わたしたち夫婦は観光組ですが、他の互助会の経営者の奥様たちと年に一度会うのを妻はとても楽しみにしています。妻が喜ぶ姿を見るのは、わたしも嬉しいです。ブログ「松山めぐり」で紹介したように、全互連の松山総会の翌日となる2022年9月14日、妻と一緒に松山を回りました。熊野山石手山を参拝し、ロープウェイに二人乗りして松山城に登り、坂の上の雲ミュージアムや子規記念博物館を見学。その夜は道後温泉で旅の疲れを癒しました。今年は、神戸に一緒に行く予定です。


