No.1305
七夕の夜、サンレー北陸の本部会議メンバーと一緒に日本映画「氷血」をユナイテッドシネマ金沢で観ました。一条真也の映画館「ドールハウス」で紹介した2025年の日本映画とともに「Jホラーの大傑作」などと絶賛されていることを知って楽しみにしていたのですが、イマイチでしたね。人間関係が説明不足で、何が何だかわかりませんでした。
ヤフーの「解説」には、こう書かれています。
「『許された子どもたち』などの内藤瑛亮監督によるホラー。親の介護のために雪国に移り住んだ一家の日常が、えたいの知れない存在によって狂わされていく。『夏の午後、おるすばんをしているの』などの片桐絵梨子が脚本、内藤監督作『ミスミソウ』などの四宮秀俊が撮影を担当。『トラさん~僕が猫になったワケ~』などの北山宏光が主人公を演じ、彼の妻を『ミーツ・ザ・ワールド』などの加藤千尋、主人公の父親を『なりゆきな魂、』などの佐野史郎が演じるほか、山谷碧都、佐津川愛美らが出演する」
ヤフーの「あらすじ」は、以下の通りです。
「稔(北山宏光)は親の介護のため、妻・悠希(加藤千尋)と幼い息子・晶を連れて雪国の実家へ移り住む。稔の父親で認知症を患う茂(佐野史郎)は、どういうわけか悠希にだけ激しくおびえ、亡き妻の名前を叫ぶのだった。ある日、茂が不可解な死を遂げ、その日を境に一家の日常は不穏な様相を帯び始める。家の中に不気味な白い女がたびたび姿を現すようになり、稔は正気を失ったかのように白い女の絵を描き続けるなど、彼らは未知の恐怖に狂わされていく」
稔を演じた北山宏光の演技は初めて見ましたが、悪くはありませんでした。旧ジャニーズ事務所(現スタート・エンターテインメント)のタレントたちは演技も達者な人が多いですが、彼も例に洩れませんでしたね。ただ、彼が演じた稔という人物があまりにもクズなのと、その背景が説明不足で何が何だかわからず、鑑賞しがらイライラしました。途中、スティーヴン・キング原作でスタンリー・キューブリック監督のホラー映画の名作「シャイニング」(1980年)のジャック・ニコルソンを彷彿とさせるシーンがあるのですが、このときの演出も中途半端でした。わたしは、「子どもじゃなくて親父に斧を持たせろよ!」と心の中で叫んだ次第です。
加藤千尋が演じたヒロインの悠希は、せっかく夫の父親の介護のために雪国に移り住んだにもかかわらず、次から次に可哀そうな目に遭います。スティーヴン・キング原作でロブ・ライナー監督の名作「ミザリー」(1990年)の主人公みたいな目にも遭います。資料を読むと、どうやら稔は再婚で、悠希は後妻のようです。幼い息子の晶は行方不明になった前妻の子という設定だそうですが、そんなこときちんと説明してくれないとわかりませんよ。佐野史郎演じる稔の父親が悠希を見て怯えていたので、てっきり悠希の正体が雪女かと思ったら、悠希の前で雪女らしき白装束の女性が出現して混乱しました。さらには雪女が何人も出てきて、さらに混乱しました。この映画、わけがわからなさすぎて、鑑賞中は多大なストレスを感じましたね。
本作に登場する雪女を演じている女優がどれも華がないのも残念でした。わたしは、雪女を演じる女優は絶世の美女に限ると思っています。というのも、これまでに最も雪女にふさわしかったのは小林正樹監督の名作「怪談」(1965年)の岸恵子だからです。彼女が演じた雪女は美しく、妖しく、儚かったです。他にふさわしい女優がいたとすれば、若尾文子・岩下志麻・中山美穂・柴咲コウ・白石麻衣などでしょうか。乃木坂46で白石麻衣の後輩にあたる山下美月や池田瑛紗なども良いかもしれません。基本的に色白の美人が雪女を演じるべきだと声を大にして言いたいです。本作「氷血」は小泉八雲の「雪女」をモチーフにしていますが、扱い方がじつに雑であり、八雲に失礼だと思いました。
ひたすらディスるだけでは申し訳ないので、本作の長所も挙げると、まず何よりもポスターやチラシのビジュアルが素晴らしいです。これは本当に怖いですし、ホラー映画のビジュアルとしては最高ですね。ポスターやチラシだけでなく、本作に登場する稔のデザインワークや茂の「雪女」の絵もいいです。ストーリーや演出最低なのですが、デザインは最高という不思議な映画となりました。映画賞に縁があるとしたら「美術賞」でしょう。まあ、アメリカだったら「ゴールデンラズベリー賞」の候補になるかもしれません。認知症の老人を演じた佐野史郎の演技は良かったです。彼の存在そのものが雪女よりも妖怪を感じさせますね。


