No.1304
7月3日、東京から北九州に戻りました。その夜、この日から公開された日本のホラー映画「口に関するアンケート」をローソン・ユナイテッドシネマ小倉で観ました。結論から言うと、つまらなかったです。時間がもったいなかったです。こんなことなら、本日発売の村上春樹の新刊『夏帆 The Tale of KAHO』を読むか、2日から配信のNETFLIXドラマ「ガス人間」を観れば良かった!
ヤフーの「解説」には、こう書かれています。 「背筋の小説『口に関するアンケート』を実写化したミステリー。仲間と墓地で肝試しをした翌日に姿を消してしまった女子大生をめぐる仲間の証言に隠された真相を描く。メガホンを取るのは『あのコはだぁれ?』などの清水崇。『ババンババンバンバンパイア』などの板垣李光人、『教場』シリーズなどの綱啓永、『鬼の花嫁』などの吉川愛のほか、柄本時生、中村獅童らが出演する」
ヤフーの「あらすじ」は、「心霊スポットとして知られる墓地にある『呪われた木』の存在を聞き、5人の大学生が肝試しに向かうが、翌日にそのうちの一人の女性が行方不明になる。さらに、ほかの4人の周囲で不可解な現象が起きるようになる。週刊誌記者の西(柄本時生)や、刑事の草壁(中村獅童)が事件の真相に迫ろうとする」となっています。
原作者の背筋は、一条真也の読書館『近畿地方のある場所について』で紹介した2023年の小説でデビュー。同作は「このホラーがすごい! 2024年版」で堂々の1位に輝きました。当然ながらベストセラーになり、一条真也の映画館「近畿地方のある場所について」で紹介したように映画化もされました。女性の口元が大きく写された不気味な表紙、奇妙なタイトル、そしてスマートフォンよりも小さい異様なサイズ感。 書店に並ぶ数多の小説と一線を画す強烈な存在感を放つ書影。 一度見たら忘れられない手のひらサイズの装丁とたった60ページという短い物語の中でしっかりと恐怖を味わえる"新感覚な読書体験"として、SNSを中心に「逆に怖い」「怖すぎて人に薦めたくても薦められない」「読んだ感想を何一つ言えない」と話題が拡散し、累計32万部を突破しました。
原作は登場人物たちの独白だけで構成されているため、実写化の情報が解禁された際には「これをどう映像化するのか想像できない」「あの不気味さを(映像で)どう表現するのか気になる」と声が相次いだそうです。本作が実写映画単独初主演となる板垣李光人も、オファーを聞いた時はその思いは同じだったとか。彼は、「台本をいただく前でしたから、文字というメディアの特性を最大限に活かした小説のおもしろさを映像でどう表現するんだろうと思いました。でも、Jホラーの巨匠の清水監督とご一緒できるのがうれしかったですし、原作の小説がおもしろかったので、ありがたく受けさせていただきました」と振り返っています。でも、結論から言うと、彼はホラー映画向きではないですね。一条真也の映画館「ミーツ・ザ・ワールド」で紹介した2025年の日本映画のように明るくて能天気な役の方が似合います。
板垣が初めて参加したホラー映画の現場では新鮮な驚きもたくさんあったようで、「MOVIE WALKER PRESS」のインタビューに対して、「この世のものではない恐怖の対象に、(キャストの)我々がどう反応するかで観客の"怖がる"温度が決まってくるから、芝居をするだけではなく、カメラのアングルに対して自分をどう見せるのかもホラー作品では考えないといけない」と語っています。また、「カメラが自分を俯瞰する位置にいたら、どれだけ正面を見ながら目を大きく見開いていても映らないですから。失踪した人物の霊と対峙する高架下のシーンなどはまさにその最たるもので、カメラの動きに合わせて顔の角度をちょっとずつ合わせていきました」などと、 ホラー映画ならではの現場を嬉しそうに述懐したといいます。
そもそも、墓場での肝試しで怖い目に遭うという設定自体が「いつの時代の怪談だよ?」と思ってしまいますが、呪いの木の描写はなかなか熱が入っていましたね。ああいうのは、やっぱり怖いと思います。でも、出現したモノに声をかけたらいけないとか、呪いをかけられるとかいうのは、まったく説明もありませんでしたし、観客にはわからないですよね。そのへんは、もっと丁寧に描く必要があると感じました。もっとも、背筋原作の映画「近畿地方のある場所について」をはじめ、最近のホラー映画はモキュメンタリ―が主流なので、こういう怪談ベースの物語は悪くはないと思います。しかし、いかんせん、話の展開もオチもショボすぎました。原作は未読ですが、60ページの本を相当に膨らませて脚本を書いたのでしょうね。
中村獅童が演じた刑事の草壁、柄本時生が演じた週刊誌記者の西の2人もショボかったです。2人ともそれなりに存在感のある俳優ですが、「なんで、この映画に出たの?」と訊きたくなるぐらい、意味のない役どころでした。劇中に、ギャンブルで負けが込み金欠になった草壁が西に特ダネを売ろうと持ちかける場面があります。2人は「例の店で落ち合おう」と言うのですが、場所はクラブかBARか何かと思ったら、なんと庶民的な定食屋でした(苦笑)。最後の「アンケートのお願い」というのも、どうでもいい内容でしたね。わたしはトイレに行きたかったこともあり、さっさと退場しました。メガホンを取った清水祟監督は痩せても枯れてもJホラーの巨匠のはず。ぜひ、今月24日に公開される次回作「だぁれかさんとアソぼ?」には期待したいものです!


