日本映画「不能犯」を観てきました。

 ヤフー映画の「解説」には以下のように書かれています。

「『戦慄怪奇ファイル』シリーズなどの白石晃士が監督を務め、グランドジャンプ連載のコミックを映画化したサスペンス。何度も変死事件現場で目撃されながらも、誰もその犯行を立証できない主人公が暗躍する姿を活写する。『ツナグ』などの松坂桃李がダークヒーローに挑戦。人の心をいともたやすくコントロールできる謎の男の、善悪を超越した振る舞いに翻弄される」

 また、ヤフー映画の「あらすじ」には以下のように書かれています。

「大都会を舞台に立て続けに変死事件が起こり、その現場には決まっていつも黒のスーツを着た男の姿があった。その男は宇相吹正(松坂桃李)で、"電話ボックスの男"とSNSで話題になっており、とある電話ボックスに殺人の依頼を貼るだけで必ず遂行されるとささやかれていた。実際に標的は100パーセントの確率で、事故や自殺や病気によって命を落としており ......」

 じつは、わたしが「不能犯」を観るのを楽しみにしていました。というのも、白石晃士が監督だったからです。わたしは一条真也の映画館「貞子vs伽椰子」で紹介した日本のホラー映画史に残る怪作(?)のメガホンを取ったことでも知られる白石監督の大ファンで、「ノロイ」(2005)、「オカルト」(2009)、「カルト」(2013)というフェイク・ドキュメンタリー3部作は、映画の歴史に残る大傑作であると思っています。わたしは「呪いとは、脳のウィルス感染である」と考えており、心霊の問題というよりも情報処理の問題であると思っています。これらの作品を観て、それを再確認しました。「貞子vs伽椰子」における呪いはガチでしたが......。

 しかし、そんなホラー映画界の鬼才である白石監督の最新作「不能犯」は正直、物足りませんでした。コミックが原作ということもあって、非常に内容が薄っぺらな印象でした。登場人物の名前もじつにコミックっぽかったです。もちろん、わたしはコミックを軽視はしていません。映画の原作としても優れたコミックはたくさんありますが、映画「不能犯」は基本的に1話完結と思える原作エピソードを詰め込きすぎで、非常に雑然とした印象がありました。これは映画というよりも、連続ドラマ向きの内容です。実際、dTVのオリジナルドラマ化されたようですね。

 それでも、映画「不能犯」では、主演の松坂桃李と沢尻エリカの演技は見ものでしたね。松坂桃李は「ツナグ」(2012年)でなつかしい死者と会わせてくれる天使のような好青年を演じましたが、「不能犯」での主人公は悪魔のようなダークヒーローでした。天使と悪魔の両方を演じられるなんて、俳優としても大したものですね。彼の悪魔ぶりは堂に入っており、カッコ良かったです。色気もたっぷりで、なんでも次は男娼の役を演じるとか。

 それから、謎の変死事件を追う女性刑事の多田を演じた沢尻エリカは「美女があんたを助けてあげる」とか「私は希望であんたを殺す」などのチープなセリフがまことに残念ではあるものの、相変わらず美しかったです。彼女はもともと演技力があるので、もっとシリアスな物語のヒロインのほうが向いていると思いますが......。

 彼女の主演作で、わたしが一番好きなのは「クローズド・ノート」(2007年)です。あの映画は、舞台挨拶での彼女の「別に・・・」発言ばかりがクローズアップされてしまいましたが、内容的には素晴らしい名作でした。それにしても、あれから10年が経過したのですね。「不能犯」の舞台冊では終始ニコニコして上機嫌だった彼女ですが、エリカ様も丸くなりました。