No.420
日本映画「ダンスウィズミー」を観ました。一条真也の映画館「イソップの思うツボ」で紹介した作品に続いて、連日の映画鑑賞ですが、前日に続いて今日の作品もショボかったです。(涙)小倉のシネコンで、全部で10ある中の6番目の大きさの劇場だったのですが、ガラガラでした。
ヤフー映画 の「解説」には、こう書かれています。
「『ウォーターボーイズ』『ハッピーフライト』などの矢口史靖が監督を務め、自身初のミュージカルに挑んだコメディー。ミュージカルスターになる催眠術をかけられた女性が、ゆく先々で騒動を起こす。ヒロインを、オーディションを勝ち抜いた『旅立ちの島唄 ~十五の春~』などの三吉彩花が演じ、華麗な踊りと歌声を披露する」
ヤフー映画の「あらすじ」は、以下の通りです。
「一流商社に勤務する鈴木静香(三吉彩花)は、曲が流れた途端に歌って踊らずにはいられなくなるという催眠を催眠術師にかけられる。翌日から静香は、テレビから流れる音、携帯電話の着信音、駅の発車メロディーなど、ちまたにあふれる音楽に体が勝手に反応してしまう。なんとか術を解いてもらおうとするが、催眠術師はどこにもいなかった」
「イソップの思うツボ」も「ダンスウィズミー」も、16日が公開日でした。お盆明けという大切な日に何を観ようかと考えたとき、わたしの脳裏にまず浮かんだのは、美しい三吉彩花が主演の「ダンスウィズミー」のほうでした。しかし、ネットでの評価があまりにも低くて鑑賞意欲が萎えてしまいました。現在は3点を超えているようですが、公開前日の15日の時点では2点台だったのです。それで、公開当日までネットで「未評価」となっていた「イソップの思うツボ」を観たのですが、この映画、とても御都合主義で作られており、ガッカリしました。
それで、「やはりネットの評価など気にしてはいけない。自分の目で確かめなければ」と思って鑑賞した「ダンスウィズミー」でしたが、こちらも負けず劣らずで御都合主義の映画でした。特に主人公の静香が所持金がないのに東京から東北や北海道まで遠出する費用の捻出方法がまったくもってリアリティ・ゼロでした。ホラー映画やSF映画を愛するわたしは、つねづね「非現実的な物語ほど、細部は現実的でなければならない」と考えています。「イソップの思うツボ」も「ダンスウィズミー」も、ある意味で非現実的というか荒唐無稽な話なので、ディテールにはリアリティが欲しかったですね。
まあ宣伝文句でしょうが、「ダンスウィズミー」を一条真也の映画館「ラ・ラ・ランド」で紹介したミュージカル映画の名作の日本版だという意見があるようです。しかしながら、それは「ラ・ラ・ランド」に対して失礼でしょう。ダンスのレベルうんぬんを言う以前の問題があります。「ラ・ラ・ランド」をはじめとするハリウッド産のミュージカル映画では、登場人物たちがハッピーに歌って踊りますが、「ダンスウィズミー」の場合は違います。なぜなら、主人公の静香は催眠術にかけられて無理やり踊らされているのであり、けっして踊りたくて踊っているわけではないからです。
この音楽が流れると踊り出す催眠術に主人公がかかっているという設定は、矢口監督には自慢のアイデアかもしれませんが、はっきり言って、アイデア倒れ。というか、ミュージカル映画として最大の弱点になっています。だって、ハッピーでもなんでもなく、嫌々踊っているわけですから。矢口監督といい、「イソップの思うツボ」の上田慎一郎監督といい、それぞれ「ウォーターボーイズ」や「カメラを止めるな!」の大ヒットという過去の成功体験を引きずっているというか、ちょっと自身のアイデアに過剰な自信を抱いているのではないでしょうか。
「ダンスウィズミー」の主人公の静香は、小学校時代の学芸会のトラウマもあって、ミュージカルが嫌いです。その証拠に、姪の女の子に対して、「そもそもミュージカルって、おかしくない? さっきまで普通にしゃべってた人が急に歌い出したりしてさ」「ミュージカルなんて、バッカみたい!」などと言い放ちます。じつは、わたしも高校生ぐらいまで、静香と同じ考えでした。意味もなく急に歌ったり、踊ったりするミュージカルが間抜けに見えて、仕方なかったのです。でも、大学生になってレンタルビデオ店でMGMの往年のミュージカル映画の名作などを観まくって、考えが変わりました。ミュージカルとは、このクソ面白くない世界を一瞬で面白くする魔法であることに気づいたのです。
しかし、この変てこりんな催眠術映画のおかげで、急に歌い出したり、踊り出したりするミュージカルというものがやはり「おかしな行為」「やばい行動」のように思えてくるではありませんか。たしかに、主演の三吉彩花は頑張っていたし、その長い手足を使ってダイナミックに踊るダンスは見事でした。彼女なら、海外に行って踊っても、当地のプロ・ダンサーたちに見劣りしません。それにしても、「ダンスウィズミー」は脚本が悪すぎます。単なるアブない映画という印象で、わたしはヒロインを演じた彼女が不憫で仕方ありませんでした。
というのも、わたしは2013年5月5日に当時16歳だった三吉彩花を初めて見てから彼女の魅力に取りつかれ、ひそかに応援し続けてきたのです。ブログ「昭和館」に書いたように、わたしは小倉の名画座のスクリーンで彼女に出会ったのです。2012年12月15日に公開された「グッモーエビアン!」という映画で多感な女子中学生を演じたのです。「グッモーエビアン!」は、麻生久美子、大泉洋、三吉彩花らが出演するハートウォーミングなホームドラマです。かつてパンクバンドのギタリストとして鳴らしたシングルマザーとしっかり者の中学生の娘、それに海外の旅から戻ってきた超・自由人の男の物語です。原作は吉川トリコの小説で、「キズモモ。」の山本透が監督を務めています。
「グッモーエビアン!」では、麻生久美子も大泉洋もなかなかの名演技でしたが、とにかく三吉彩花がムチャクチャかわいかった! 吉高由里子と成海璃子を足して2で割って、さらにキュートにした感じでした。顔は美形ですし、スタイルは抜群、加えて演技力もありました。わたしは、ブログに「まだ16歳とのことですが、こんな素晴らしい才能が日本映画界にいたとは初めて知りました。10年後には、間違いなく映画界を代表する女優になっていると思います」などと書いています。ちなみに「グッモーエビアン!」には、三吉彩花演じる女子中学生の親友役で「あまちゃん」の主演女優のんも出演しています。
現在の三吉彩花は23歳ですが、これだけの美貌があれば、本当はNHKの朝ドラ女優ぐらいとっくに務めていたって、おかしくないと思います。ただ、ファッションモデルだけあって、身長が171センチと、朝ドラのヒロインにしては大きすぎるかもしれませんね。ちなみに、彼女はもともとダンスが特技で、E-girlsの武部柚那と親交があり、E-girlsのファンだそうです。また、乃木坂46のファンでもあり、白石麻衣のファンでもるとか。モデル仲間で仲の良い江野沢愛美とコンビを組む際は「みよまな」、中条あやみとコンビを組む際は、「みよぽー」と称しているそうです。さくら学院の同期でもある松井愛莉とコンビを組む際は「みよまつ」と称するそうです。特に江野沢とのコンビは2人で腕を組み合わせ、ハートマークをを作るポーズの生みの親であり、ファンの間では「みよまなポーズ」と称されているとか。同じ事務所の八木アリサとも仲が良いそうですが、それにしても美女の友達も美女ばかりですね!
現在のわたしは今後の日本映画界を担う女優として広瀬すずと浜辺美波の2人に期待していますが、じつは彼女たちより先に三吉彩花の魅力を発見していたのでした。そんな彼女がオーデイションまで受けて、やっと話題の映画の主役を務めると知って、父親のように喜んでいたのに、よりにもよってこんな変な映画とは......まったく、トホホです。もっと、普通の恋愛映画のヒロインを演じてほしかった。初日舞台挨拶で、監督からのサプライズの手紙に大粒の涙を流した彼女の表情を見て、そう思いました。
この映画には、往年のヒット曲がたくさん登場します。山本リンダの「狙いうち」、キャンディーズの「年下の男の子」、サディスティック・ミカ・バンドの「タイムマシンにおねがい」なども懐かしかったですが、なんといっても、SUGARの「ウェディング・ベル」をchay、三吉彩花、やしろ優の3人で歌ったのには驚きましたね。しかも、chay演じる歌手の元カレの結婚式の二次会で歌って、「くたばっちまえ!」の決め台詞の後で、パーティーを滅茶苦茶にぶっ壊すという展開。あまり面白くなかったこの映画の中で、唯一、大笑いしたシーンでした。
そういえば、わたしはSUGARの「ウェディング・ベル」が大好きで、たしか高校3年生のときにEPレコードを買って、受験時期にもかかわらず、何度も4チャンネルステレオ(!)で聴いたことを思い出しました。あのとき、「俺は何年後ぐらいに結婚式を挙げるのかな?」などと思ったものですが、実際はそれから7年後に結婚しましたね。(笑)高校卒業後、東京の大学に入学したわたしはなぜか六本木に住んで、ディスコ通いの毎日。それこそダンス漬けの生活を送ったのでありました。(苦笑)