No.661
12月16日から公開された映画「アバター ウェイ・オブ・ウォーター」をシネプレックス小倉のレイトショーで3D鑑賞しました。世界一ヒットした映画といわれる前作「アバター」(2009年)の続編で、「人類史上最高の映像体験」と謳われています。実際、圧倒的な映像美を堪能しましたが、192分の上映時間はやっぱり長かった!
ヤフー映画の「解説」には、こう書かれています。
「ジェームズ・キャメロン監督によるヒット作の約13年ぶりの続編で、第1作の10年後を描いたSF大作。神秘の星パンドラに人類が再びやってきたことから、パンドラの森で平和に暮らしていた元海兵隊員と先住民の女性たちが海へと逃れる。前作と同じく監督をキャメロンが務め、前作同様元海兵隊員をサム・ワーシントン、先住民の女性をゾーイ・サルダナが演じ、シガーニー・ウィーヴァーなどが共演する」
ヤフー映画の「あらすじ」は、以下の通りです。
「神秘の星パンドラ。元海兵隊員のジェイク(サム・ワーシントン)は先住民ナヴィの女性ネイティリ(ゾーイ・サルダナ)と結ばれ、子供たちをもうけ、幸せに暮らしていた。しかし、ジェイクたちは再びパンドラに現れた人間たちに森を追われてしまい、海の部族のもとに身を寄せる。だが、その美しい海にも侵略者が接近していた」
これまでの3D映画は、正直言って「こんなものかな?」と思えるものが多かったです。でも、「アバター ウェイ・オブ・ウォーター」はまるでディズニーランドの立体映像アトラクションを3時間まるまる楽しんだ感じでした。特に、マイケル・ジャクソンが出演した伝説のアトラクション「キャプテンEO」を初めて体験したときの衝撃を思い出しました。でも、4DX3Dならば、画面に合わせて座席が揺れ、濡れ、背中を殴られるようなショックを与えられ、さらに森のシーンではウッディな香り、海のシーンではオーシャンな香りもするという五感フル活用だとか。ここまでやるとは、すごいですね!
わたしは、ずっと3Dメガネをかけたまま、スクリーンを凝視したので目は疲れました。でも、本当に自分が海に潜ったと錯覚するほどバーチャルな体験ができました。最後の敵船が浸水して沈むシーンは、一条真也の映画館「タイタニック3D」で紹介した映画みたいでした。ジェームスキャメロンの得意技という感じですね。正直、ストーリーは大したことがないのですが、とにかく映像の迫力が凄いです。映画という芸術が「ついに、ここまでの域に到達した」といったレベルの凄さで、一条真也の映画館「DUNE/デューン 砂の惑星」で紹介したSF超大作以来の衝撃的映像でしたね。
「アバター ウェイ・オブ・ウォーター」は、「タイタニック」のジェームズ・キャメロン監督が12年ぶりに発表した、最新の映像技術を駆使して作り上げたアドベンチャー大作の続編です。2009年に公開された前作「アバター」は、ある衛星にやって来た人類と、その星にもともと住む者たちによる激しい戦闘を、迫力の最新3D映像で見せ、大ヒットしました。出演者は「ターミネーター4」のサム・ワーシントンほか、キャメロン監督とは「エイリアン2」以来久々にタッグを組むことになるシガーニー・ウィーヴァーら実力派が顔をそろえる。構想14年、製作に4年をかけたキャメロン監督による壮大な物語と斬新な映像美に酔いしれます。
「アバター ウェイ・オブ・ウォーター」はこれまでの経緯の説明などが一切ないので、事前にYouTube動画などで前作「アバター」のストーリーを復習しておくことをおススメします。「アバター」ですが、元海兵隊員で、戦争で下半身不随になって車椅子生活を送っていたジェイク(サム・ワーシントン)が衛星パンドラにやって来ることから物語が始まります。ジェイクは「アバター計画」に参加するため、死んだ兄の代わりとして急きょRDA(資源開発公社)に雇われ、惑星パンドラに派遣されたのでした。パンドラにはRDAが希少鉱石を求めて進出していましたが、鉱脈が先住民族ナヴィの居住する地域にあるため、その開発をしたい人間と立ち退きを拒むナヴィが対立している状況にありました。
ジェイクは同じく元海兵隊大佐でRDAの傭兵隊を率いるラング大佐に、ナヴィの立ち退き交渉を進めるため、ナヴィのスパイをするようにとの命令を受けます。科学者のグレースが率いる「アバター計画」は、ナヴィと交流し、ナヴィの研究を行うために計画されたものでした。「アバター」とは人間とナヴィのDNAを融合して開発されたナヴィの姿をした体のことで、この体にDNAを提供した人間の精神をリンクさせて操作します。ジェイクの兄はアバター計画にDNAを提供していたのでした。兄の代理としてアバター計画に参加する弟のジェイクはこのアバターを操作することが仕事でした。
海兵隊時代に負傷したジェイクは脊髄損傷により車椅子を使わないと動くことができません。しかし、人間とナヴィ族のハイブリッドであるアバターに変化を遂げ、不自由な体で単身惑星の奥深くに分け入って行きます。ジェイクはアバターを使い、次第にナヴィの世界に入りこんでいきます。慣れない土地で野犬に似たクリーチャーに襲われていた彼は、ナヴィ族の王女(ゾーイ・サルダナ)に助けられます。2人は恋に落ち、結婚し、彼らは子どもを作るのでした。ここから第2作である「アバター ウェイ・オブ・ウォーター」が始まります。ジェームズ・キャメロン監督は、「アバター」シリーズを全5作作る構想を打ち出し、いずれも約3時間の長編だとか!
この映像のクオリティであと3作が製作されるわけですが、少し不安になるのは「ストーリーは、このままで大丈夫なのか?」です。第1弾の前作も、第2弾の本作も、あまりにもストーリーが単純というか、物語に深みを感じられませんでした。ネイティブ・アメリカン(アメリカ・インディアン)を排除し、殺戮し、征服してきた白人移民たちへの批判的視点があることは誰が見てもわかります。ナヴィたちの言葉の発音は明らかにネイティブ・アメリカンの発音に近いことが指摘されていますし、髪型などの外見もネイティブ・アメリカンを連想させます。白人軍隊によるナヴィへの攻撃は、かつて騎兵隊が行ったネイティブ・アメリカンの集落への襲撃を思い出させますし、さらには、ベトナム戦争で米軍が行ったベトナムの村人への火炎(ナパーム弾)とミサイルによる殺戮さえ思い出させます。そのような白人批判はわかるとしても、このテーマだけであと3作を製作するのは辛いのではないかと思います。映像美だけを売り物にするなら、2作で充分では?
3時間を超える「アバター ウェイ・オブ・ウォーター」はすべてが深く作り込んであり、文句なしの完成度の高さです。それでも、やはり3時間は長いです。前日が寝不足だったり、体調が優れなかったりすれば、きついでしょうね。あと、TOHOシネマズのプレミアムシート・クラスなら快適でしょうが、座席が狭い古い映画館なのだと辛いです。映画のキャラクター設定は見事でした。数ヶ月前、ジェームズ・キャメロン監督が「マーベルやDCの登場人物が未熟である」と批判したそうですが、本作を見れば納得ですね。ここまでレベルの高い続編映画を作ったのは、やはり快挙です。さらなる続編が楽しみです!