No.803
東京に来ています。
11月21日は互助会保証株式会社の監査役会および取締役会に参加しましたが、その前に朝一番でヒューマントラストシネマ有楽町を訪れ、映画「JFK/新証言 知られざる陰謀【劇場版】」を観ました。朝なのに、高齢者の観客でほぼ満席なことにビックリ! みなさん、ケネディに思い入れがあるのでしょうか? 映画はマニアック過ぎる印象でしたが、アメリカという国の底知れぬ闇を感じましたね。
ヤフーの「解説」には、こう書かれています。
「アメリカのジョン・F・ケネディ大統領の暗殺事件をドラマとして描いた『JFK』のオリヴァー・ストーン監督が、新たな資料などに基づいて同事件を掘り下げたドキュメンタリー。『JFK』の公開以降に機密解除された文書の調査や、事件の目撃者へのインタビューなどから、1963年に起きた事件に迫る。ナレーションをウーピー・ゴールドバーグとドナルド・サザーランドが担当する」
ヤフーの「あらすじ」は、以下の通りです。
「1963年11月22日、アメリカ・ダラスでオープンカーに乗車していたジョン・F・ケネディ大統領が銃撃され、死亡した。映画監督のオリヴァー・ストーンは、事件から数十年を経て新たに機密解除された事件にまつわる資料などから、銃弾の特徴や実行犯とされたリー・ハーヴェイ・オズワルドの逃走経路などを改めて検証する」
「JFK」(1991年)は、オリヴァー・ストーン監督の代表作です。ケネディ大統領暗殺事件の捜査に執念を燃やす地方検事ジム・ギャリソン(ケビン・コスナー)を中心に描いた現代史ミステリーです。大統領暗殺をめぐる唯一の訴訟であるクレイ・ショー裁判に至る捜査を題材として描き、第64回アカデミー賞で撮影賞と編集賞を受賞しました。主として、リー・ハーヴェイ・オズワルド、CIA、マフィアや大物政治家がケネディ暗殺の犯人あるいは黒幕らしいとして語られますが、この映画は独自の説に基づいて展開されています。この独自の説の材料となるバッジ・マン説は1980年代に発表されていたものの、この映画により一躍知名度を高めました。
ケネディ大統領暗殺事件とは、1963年11月22日、オープンカーでダラス市内をパレードしていたケネディ大統領が銃撃され死亡した事件のことです。容疑者として拘束された元海兵隊員オズワルドも移送中に射殺され、真相は闇に葬られることとなりました。事件から28年後に、ストーン監督の映画「JFK」が世界的ヒットを記録し、翌92年には新たな法案が可決して、膨大な文書が機密解除されました。当然ながら、事件の再調査が一気に注目されましたが、真実は不明のまま現在に至っています。
「JFK/新証言 知られざる陰謀【劇場版】」では、新たに解禁された数百万ページにおよぶ文書の中から重要な発見をあぶり出して再検証しています。また、事件の目撃者をはじめとする関係者へのインタビューから浮上した新たな証拠を深く掘り下げているのですが、細か過ぎるというか、マニアアック過ぎて、それほどこの事件の関心のないわたしは戸惑いました。かなりの時間、英語の文書がスクリーンに映されているのですが、そこをナレーターがかなりの早口で説明するので、字幕を読むのが大変でした。しかも、文書の白い紙の上に白文字の字幕が出るのは辛かったですね。また、撃たれたケネディの損傷した頭部の映像などがバンバン映るのもヘビーでした。
この映画ではオズワルドの単独犯行説などナンセンスのきわみで、複数の犯人(狙撃手)説が定説であるような描き方をしていました。とにかく、銃や銃弾の種類とか、弾道の方向がどうのこうのといった細かい議論が多く、昨年の日本の事件を連想しました。2022年7月8日午前11時半頃、奈良市内で街頭演説をしていた安倍晋三元首相が銃撃され、山上徹也容疑者が殺人未遂の現行犯で逮捕された事件です。あの事件も、さまざまな陰謀説が囁かれましたね。元総理大臣が白昼の街頭演説中に暗殺されるとは大変なショックです。また、2発の銃弾のうち1発が命中して、それが致命傷になったわけですが、山上容疑者の狙撃技術の高さも信じられません。このときも大変なショックを受けましたがが、60年前のケネディ暗殺は世界中に超弩級の衝撃を与えたのです。
女優マリリン・モンローは「アメリカのセックス・シンボル」でしたが、彼女がJFKの愛人であったことは有名です。わたしは、一条真也の映画館「ブロンド」で紹介した彼女の伝記映画を連想しました。不安定な幼少期を過ごしたのち、映画スターへの道を歩み始めたノーマ・ジーン(アナ・デ・アルマス)の不幸な人生を描いた作品です。この映画のケネディの描き方はショッキングでした。なんと、女性を性欲のはけ口としてしか見ない最低男として描いているのです。でも、原作者のジョイス・キャロル・オーツも故人の名誉を損なうような嘘をわざわざ書かないでしょうから、きちんとした情報源がきっとあるのでしょうね。JFKのイメージがずいぶん変わってしまいます。
しかしながら、多くのアメリカ人にとって、また世界中の人々にとって、JFKは希望の光でした。非常に先見の明があった人であり、現在でいう「SDGs」も視野に入っている印象がありました。平和と平等を求め続けた彼の人生から「ウエルビーイング」と「コンパッション」を強く感じます。ベトナム戦争やキューバへの米軍の派遣には消極的であり、撤退も考えていましたし、ソ連との関係も良好になっていきました。彼が暗殺してからは、すべてが逆になった気がします。そんな偉大な政治家であったJFKの死は、アメリカ国民はもちろん、エジプトやアルジェリアの人々をはじめ世界中に大きなグリーフを与えました。
グリーフといえば、この日、 一条真也の映画館「グリーフケアの時代に」で紹介した映画の予告編がヒューマントラストシネマ有楽町で流れました。喪失(グリーフ)を受けた人々と心のケアを行う人々の姿を通し、悲嘆に暮れる人が立ち直れるよう支援する「グリーフケア」の必要性を説いたドキュメンタリーですが、わたしも佐久間庸和の本名で出演しており、予告編にも登場します。その予告編がヒューマントラストシネマ有楽町のスクリーンで流れ、わたしの映像と名前が大写しになるという信じられない体験をしました。正直言って、映画「JFK/新証言 知られざる陰謀【劇場版】」そのものは心に響きませんでしたが、「グリーフケアの時代に」の予告編を見ることができただけでも来たかいがあったというもんです。いよいよ12月1日公開ですので、みなさま、ぜひ御覧下さい!
ヒューマントラストシネマ有楽町の公式サイトより