No.838
Netflix映画「ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語」を観ました。39分の短い作品ですが、第96回アカデミー賞の短編実写映画賞にノミネートされています。「世にも奇妙な物語」みたいな内容を期待していたのですが、あまり面白くありませんでした。残念!
ヤフーの「解説」には、こう書かれています。
「[Netflix作品]『グランド・ブダペスト・ホテル』などのウェス・アンダーソン監督が、『チャーリーとチョコレート工場』などの原作者ロアルド・ダールの短編小説を映画化。ギャンブルでイカサマをするため、透視能力を手に入れた男の運命を描く。大金持ちで独身、変わり者の主人公を『パワー・オブ・ザ・ドッグ』などのベネディクト・カンバーバッチが演じ、『シンドラーのリスト』などのレイフ・ファインズとベン・キングズレー、『ホテル・ムンバイ』などのデヴ・パテルのほか、リチャード・アイオアディ、ルパート・フレンドらが共演」
ヤフーの「あらすじ」は、以下の通りです。
「大金持ちで独身、これまで働いたことがない変わり者の男性ヘンリー・シュガー(ベネディクト・カンバーバッチ)。ギャンブル好きな彼は、あるとき目を使わずに物が見えるという導師(ベン・キングズレー)の存在を知り、ギャンブルでイカサマをするためにその力を利用しようともくろむ。やがて、透視能力を手に入れたヘンリーはカジノで荒稼ぎするようになる」
この映画、Netflixで2023年9月27日から配信されていたそうですが、わたしは知りませんでした。一条真也の映画館「ナイアド その決意は海を越える」で紹介したNetflix映画を観たとき、同作と同じくアカデミー賞ノミネート作として紹介されていたので知りました。原作はロアルド・ダールが1975年に書いたものだそうですが、正直「つまらないな」と思いました。ウェス・アンダーソン監督の説明過剰の演出も不快でした。主演のベネディクト・カンバーバッチは、一条真也の映画館「パワー・オブ・ザ・ドッグ」という素晴らしい名作をNetflixで発表しています。でも、今回は彼の良さがまったく出ておらず、残念でした。
ベネディクト・カンバーバッチといえば、「ドクター・ストレンジ」(2016年)の主演で知られますが、魔術を使うという点において、ヘンリー・シュガーと共通点があります。チベットの魔術師エンシェント・ワンの下で7年間の修行の末に魔術を会得したストレンジは、魔術を正しきことに使うため「ドクター・ストレンジ」と名乗ってヒーロー活動を開始。しかし、インドの魔術を体得したヘンリー・シュガーは、その能力をギャンブルで使うばかりでした。彼はもともと大金持ちの資産家で、働きもせず、フェラーリに乗って各地のカジノを回って荒稼ぎします。
『人間関係を良くする17の魔法』(致知出版社)
でも、あることがきっかけで、ヘンリー・シュガーは稼いだお金を小児病院や児童養護施設の建設に費やすようになります。家族もおらず、友人もおらず、ただ大金を持つだけの人生は虚しいものでしたが、世のため人のために尽くすことに目覚めてからは幸せな気分になるのでした。拙著『人間関係を良くする17の魔法』(致知出版社)で、わたしは「霊能力より礼能力」ということを訴えました。単なる霊能力は見世物でしか使えませんが、他人を思いやる「礼」を身につけた者は幸せな人生を歩めるということが言いたかったのです。短い作品ではありますが、「ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語」という奇妙な映画はまさに「礼能力」についての映画だと思いましたね。タイトルに「ワンダフル」という言葉が入った映画ですが、最後は「ハートフル」な結末でした。