No.1275
カナダのホラー映画「KEEPER/キーパー」をローソン・ユナイテッドシネマ小倉で観ました。ストーリーはつまらなかったですが、最後に登場する異形の者の造形は凄まじかったです。伊藤潤二のマンガを連想しました。
ヤフーの「解説」には、こう書かれています。
「『ロングレッグス』などのオズグッド・パーキンスが手掛けたホラー。恋人に誘われて森の中の山荘を訪れた女性が、奇妙な悪夢や幻覚にさいなまれ、そこに潜む何かの気配に追い詰められていく。恋人が所有する山荘でえたいの知れない恐怖に見舞われる主人公を『THE MONKEY/ザ・モンキー』でもパーキンス監督と組んだタチアナ・マズラニー、彼女の恋人を『エスター ファースト・キル』などのロッシフ・サザーランドが演じる」
ヤフーの「あらすじ」は、「都会で暮らすアーティストのリズ(タチアナ・マズラニー)は、恋人の医師・マルコム(ロッシフ・サザーランド)から交際1周年の記念旅行に誘われる。彼が所有する森の中の山荘に到着後、管理人からの贈り物だというケーキを食べた彼女は、悪夢や幻覚に襲われる。翌日マルコムが病院から呼び出され、一人で山荘に取り残されたリズは次々と不可解な出来事に遭遇し、そこに潜むえたいの知れない何かに恐怖する」となっています。
この映画、次から次に観客を驚かすシーンが急に出てきます。非常に気持ちの悪い、トラウマになりそうなシーンばかりで、「観客をいかに怖がらせてやろうか」という監督の企みが見えてきます。このタイプの作品には、スタンリー・キューブリック監督の「シャイニング」(1980年)というホラー映画史に燦然と輝く名作がありますが、同作に突如として登場する恐怖シーンは本当に怖かったですが、本作「KEEPER/キーパー」の場合はそこまで怖くなかったです。ただ、「ああ、ビックリした!」とか「なんだ、気持ち悪いな!」ぐらいの感想です。正直、お化け屋敷の仕掛けのようで、ホラーとしては軽いと感じてしまいました。
オズグッド・パーキンス監督の前作「THE MONKEY/ザ・モンキー」の製作が2023年にハリウッドを揺るがしたダブル・ストライキ(全米脚本家組合と全米映画俳優組合のスト)によって中断している間に、本作の撮影は行われたそうです。ストの影響を受けないカナダのスタッフ&キャストと組み、同国のバンクーバーで撮影は行われました。その製作過程はなかなか独創的で、脚本家ニック・レパードから少しずつ届く原稿をリアルタイムで組み立てながら制作するという異例の手法が採用されたといいます。
「KEEPER」というタイトルですが、インタビューでパーキンス監督は「さまざまな意味やニュアンスが込められています」として、「"運命の人"を見つけたと思える、そんな恋愛の瞬間。『ああ、この人は大切にしたい人だと』。デートを重ねて、お互いを理解していく過程において、ずっと一緒にいたいと思える人に出会い、相手が自分とも同じであることを願う。さらに一歩踏み込んだところにあるのが"守られる"という概念ですよね? その場に縛り付けられ、支配され、所有されるという感覚。素晴らしい生活を贅沢に与えられ、そこから離れることができないような状態。あるいは暴力の脅威の下に置かれている場合でも、誰かに"支配されてしまう"という考えは恋愛関係において最も恐ろしい要素でしょう」と語っています。
一条真也の映画館「ロングレッグス」で紹介した2025年のホラー映画の成功によってチームの結束も高まったといい、パーキンス監督は「チーム全体が創造的なエネルギーに満ち、お互いを信頼し合えている。だからこそ『次はまったく違うことに挑戦しよう』と言える」と語ります。そうした自由な創作環境の中で生み出された本作について、監督は「ホラーファンでさえ見たことがないような異質なモンスターが登場する」とコメント。その仕上がりに強い自信をのぞかせました。本作は全米公開時、その独創的な内容から賛否両論を巻き起こした一方で、映画監督のギレルモ・デル・トロやジェームズ・ワン、ポン・ジュノ、ゲームクリエイターの小島秀夫ら著名クリエイターから熱烈な支持を集めたそうです。
とは言っても、ホラー映画に目のないわたしは本作を傑作だとは感じませんでした。ネットでの評価も低いですね。ギレルモ・デル・トロ、ジェームズ・ワン、ポン・ジュノ、ゲームクリエイターの小島秀夫たちが絶賛したといっても、それは最後に登場するクリーチャー(?)の造形に対してであって、映画そのものに対してではないはずです。ホラー映画としての完成度が低いのは、少しずつ届いた脚本をリアルタイムで組み立てながら制作するという異例の手法にも原因があるかもしれません。要するに、話がぶつ切りで物語としてのまとまりがないのです。突然、観客を驚かせたり、気持ちの悪い怪物で怖がらせてみたり・・・・・・まさに「お化け屋敷」です。「デート映画にぴったり!?」という監督のセールストークもあながち間違いではありません。デートには遊園地のお化け屋敷がお似合いだからです。
パーキンス監督の出世作は、2025年のホラー映画「ロングレッグス」です。新人のFBI捜査官リー・ハーカー(マイカ・モンロー)は、未解決のままの一家連続殺人事件の捜査を指示されます。10件の連続殺人事件に共通するのは、自身の家族を殺害した父親が後に自殺していること、そしてロングレッグス(ニコラス・ケイジ)という謎の人物からの暗号文が現場に残されていることでした。不可解な謎と少ない手がかりを頼りにリーは少しずつ事件の真相へと迫っていくのでした。この映画、「この10年でいちばん怖い映画」というキャッチフレーズが話題になりましたが、正直そこまで怖くはありませんでした。パーキンス監督とわたしの恐怖に対する感性が違うのでしょうか?
今や世界のホラー映画界で有名になったパーキンス監督が初めてメガホンを取ったホラー映画は、2016年のアメリカ・カナダ映画の「呪われし家に咲く一輪の花」(原題:I Am the Pretty Thing That Lives in the House)です。NETFLIXのオリジナル作品ですね。若い看護士のリリーが住み込みで雇われた仕事。それはホラー小説のベストセラー作家、アイリス・ブラムの世話をすることでした。だが、高齢のアイリスが田舎で余生を過ごす愛すべき家には、恐ろしい秘密が潜んでいたのです。わたしは未見なのですが、静かなゴースト・ストーリーだとか。この作品もネットでの評価は非常に低いのですが、ネトフリで気軽に鑑賞できるので、観てみようかな?


