No.1269


 5月24日の日曜日、日本のホラー映画「オラン・イカン」をユナイテッドシネマなかま16で観ました。ネットではかなりの低評価ですが、想像していたよりも面白かったです。
 
 ヤフーの「解説」には、「第2次世界大戦下、インドネシア近海の無人島に漂着した日本兵とイギリス人捕虜が、謎の怪物"オラン・イカン"との遭遇をきっかけに生き残りを懸けて共闘するホラー。『家族のレシピ』などのエリック・クー監督が製作陣に名を連ね、『ヘッド・ショット』などに携わってきたマイク・ウィルアンが監督・脚本、『ジュラシック・ワールド』などに携わってきたアラン・ホルトがクリーチャーデザインを担当。『Pure Japanese』などのディーン・フジオカが主演を務めるほか、カラム・ウッドハウス、アラン・マクソンらが出演する」と書かれています。
 
 ヤフーの「あらすじ」は、「第2次世界大戦末期の1944年。日本軍の捕虜移送船が連合軍の攻撃を受けて沈没し、日本兵の斎藤(ディーン・フジオカ)とイギリス人捕虜のブロンソン(カラム・ウッドハウス)は、鎖でつながれたままインドネシア近海の無人島に流れ着く。言葉も通じず互いに敵意を向け合う二人の前に、マレー神話で言い伝えられる怪物"オラン・イカン"が姿を現す。それまで反目し合っていた二人は、生き延びるために協力し始める」となっています。
 
 オラン・イカンはインドネシアに棲息するUMA(未確認生物)です。「オラン」とはマレー語で「人間」、「イカン」は「魚」という意味です。つまり、「オラン・イカン」は人間と魚が合体した「半魚人」ということになります。この映画に登場する半魚人オラン・イカンは非常に力が強く、鋭い爪で人間を簡単に殺傷することができますし、巨大ワニが相手でも口を引き裂いて真っ二つにしてしまいます。
 
 半魚人がスクリーンに初めて登場した映画といえば、もちろん、1954年の「大アマゾンの半魚人」です。SF怪奇映画の老舗ユニヴァーサルが、ドラキュラやフランケンシュタインのようなゴシック・モンスターに代わるオリジナルのモンスター物として製作した作品です。アマゾン川で水掻きのついた手形の化石が発見されました。早速、現地に赴く調査隊でしたが、彼らの前に姿を現したのはなんと半魚人でした。捕獲を試みる調査隊をよそに、半魚人は一行の中の女性ケイをさらって逃げるのでした。
 
 オラン・イカンの造形は基本的に「ギルマン」と呼ばれるアマゾンの半魚人のそれを踏襲しています。こんなのが海の中やジャングルの中から現れたら腰を抜かすほど驚くでしょうが、本作の主人公であるディーン・フジオカ演じる日本兵・斎藤は日本刀で勇敢に怪物に立ち向かいます。刀を構えたディーン・フジオカを見るのは初めてですが、とても似合っていました。一条真也の映画館「ラスト サムライ」で紹介した2003年のアメリカ映画に出演しても違和感がないと思います。今後は武士の役も良いかもしれませんね。
 
 さすがに半魚人が登場するくらいでは、ホラー映画としてはそんなに怖くありませんでしたが、冒頭に出てくる捕虜を拷問する日本兵の方が怖かったです。怪物より狂気を帯びた人間の方がすっとホラー映画にふさわしいと言えます。ディーン・フジオカ演じる斎藤は上官を殺して「売国奴」と罵られ、カラム・ウッドハウスが演じるイギリス人捕虜のブロンソンと足を鎖で繋がれます。2人は無人島に流れ着き、生きるために支え合いますが、そこで生まれた信頼関係や友情は観客の心を温かくしてくれました。
 
 オラン・イカンは、主にマレー神話や東南アジアの伝説に登場する怪物ですが、第二次世界大戦中の1944年頃、インドネシアのケイ諸島周辺で「日本兵が半魚人を目撃した」という記録が残っており、この不気味な都市伝説が映画「オラン・イカン」のインスピレーションの元になっています。ケイ諸島の浜辺にはよくオラン・イカンの死骸が流れ着くそうですが、身長は110センチ~150センチくらいとのこと。映画のオラン・イカンはもっと巨大で、最初、斎藤は「巨人」と呼んでいました。いずれにしても、UMAの目撃談というのはロマンがあって、ワクワクしますね!