No.1310


 7月12日の日曜日、アメリカ映画「GOOD BOY/グッド・ボーイ」をイオンシネマ戸畑で観ました。全編「犬」視点という新感覚ホラーですが、新鮮で興味深かったです。かつて飼っていたわが愛犬を思い出して、感傷的になりました。ちなみに、本作は今年観た120本目の映画です。
 
 ヤフーの「解説」には、こう書かれています。
「飼い主と共に古い家にやって来た犬が、えたいの知れない邪悪な存在から主人を守ろうとするホラー。人間の目には見えない正体不明の何かによって、飼い主がむしばまれていく恐怖感を犬の視点で描く。監督・脚本などはベン・レオンバーグ。監督としても活動するラリー・フェセンデンのほか、シェーン・ジェンセン、アリエル・フリードマンらが出演。主人公の犬を演じたインディがサウス・バイ・サウスウエスト映画祭で『HOWL OF FAME AWARD』を受賞するなど各地の映画祭で話題を呼んだ」
 
 ヤフーの「あらすじ」は、以下の通りです。
「犬のインディは飼い主のトッド(シェーン・ジェンセン)とアパートで暮らしていたが、あるときトッドが体調を崩して入院する。その後退院した彼に連れられ、インディはトッドの祖父(ラリー・フェセンデン)が怪死して以来空き家となっていた家に移り住む。そこで過ごすうちに、インディは不可解な物音や不気味な影など、家の中に漂う不穏な気配を感じ取る。やがて闇に潜む邪悪な存在によってトッドの健康状態が悪化し、インディはえたいの知れない何かから大切な主人を守ろうとする」
 
 本作に登場する犬はインディと言う名前なのですが、とても賢そうに見えました。本作では、「古代、人類は洞窟に暮らしていた。そこには犬というパートナーがいた。犬は洞窟に捕食者が近づくと、その危険を人間に報せた」といったビデオ映像のナレーションが流れます。そう、人類にとって最初の友は犬だったのです。「GOD」を逆にすると「DOG」になりますが、犬とは神から遣わされた人間の友なのかもしれません。特に、日本の縄文時代などの狩猟社会において犬は人間にとって最高のパートナーで、人間と犬が一緒に埋葬された例もあるようです。
 
 本作では、いるはずのない"邪悪な何か"をインディが感じる場面が登場します。愛犬が「見えないもの」に吠えるという経験は、多くの人が思い当たるのではないでしょうか。犬が「見えないもの」に吠えるのは、一般には人間には知覚できない 優れた五感(聴覚・嗅覚) や、微細な光を捉える視覚が原因だとされています。犬の聴覚は人間の約4倍あり、遠くの車の音や風の音、近所の生活音、さらには超音波に近い微細な音まで聞き取ることができます。飼い主には静かに思えても、犬には警戒すべき音が聞こえている場合があります。また、犬の嗅覚は人間の数千倍から1億倍とも言われています。壁の隙間に入り込んだ小さな虫や、外から風に乗ってきた野生動物(ネズミや猫など)の微かな匂いを察知し、興奮して吠えていることがあります。
 
 犬が「見えないもの」に吠えるのは、視覚の差や反射光をとらえている可能性もあります。犬の目は、人間が気づかないわずかな光の反射や、暗闇での微小な動きを捉える能力に長けています。窓ガラスや家具に反射した光のチラチラとした動きを「動く何か」と認識してしまい、警戒して吠えることも珍しくありません。さらには、老化や認知機能の低下や病気の可能性もあります。高齢の犬の場合、認知機能の低下(痴呆)や夜鳴きが原因で何もない空間に向かって吠えることがあります。また、視力や聴力の低下によって不安を感じ、突然鳴く・吠えるといった症状が出ることもあるといいます。いずれにせよ、目に見えない"邪悪な何か"に吠えるインディ君の名演技は素晴らしかったです!
 
 わたしは犬が大好きなのですが、還暦を過ぎた今ではもう飼えないことがわかっているので、可愛い犬を見るのがちょっと辛いです。でも、一条真也の映画館「少年と犬」で紹介した日本映画では、死が近い老人(柄本明)が多聞というシェパード犬の面倒を見て、多聞は老人の最期を看取るという場面がありました。死ぬ前に老人は「人間の心がわかって寄り添ってくれる動物なんて、犬の他にはいない」と言うのですが、それを聴いて、わたしは「老人こそ犬を飼うべきではないか」と思いました。「少年と犬」よりも「老人と犬」が大事!
ありし日のハリーと遊ぶ


 
 インディの優しい目がスクリーンに映ると、わたしは過去に飼っていた3匹の愛犬を思い出しました。1匹目は、小学校低学年のときに自宅に迷い込んできた雑種犬でした。犬がずっと飼いたかったわたしは嬉しくてたまりませんでしたが、1週間ぐらい経ってから本物の飼い主が引き取りにきて、涙の別れをしました。2匹目は小学校高学年から高校生まで買っていたコリー犬で「ハッピー」という名でした。3匹目は2人の娘たちのために飼ったイングリッシュ・コッカースパニエル犬で「ハリー」という名でした。ハッピーとハリーとは死別しましたが、わたしは彼らのことを思い出すと今でも涙が出てきます。本当に、とても大切な家族でした。
天使たちに護られたハリーの墓


 
 特に、2010年に死別したハリーは、まだ小屋を残していることもあり、忘れられません。娘たちは、ハリーとともに成長し、たくさんの思い出を作りました。わたしたち家族は、ハリーを心から惜しみ、感謝の念とともに送り出してあげました。ハリーを失ってからの喪失感は、思った以上にこたえました。わたしにとって、どれだけ大切な存在であったかを思い知らされました。わたしは、庭にハリーのお墓を作ってあげました。ハリーが大好きだった庭の大好きな場所に穴を掘って、骨を埋めてあげたのです。ハリーの墓は二体の天使像が護ってくれています。ハリーは、経営者としても作家としてのわたしの一番しんどかった時期を支えてくれました。どんなに辛いことや嫌なことがあっても、ハリーとフリスビーをすると全部忘れることができました。一昨年の秋に父を亡くすまでは、これまでの人生で最も悲しかった別れはハリーとの別れでした。「GOOD BOY/グッド・ボーイ」を観ながら、わたしはそんなことを思い出していました。