No.0151


 28日から公開された「呪怨―終わりの始まり―」を観ました。「呪怨」シリーズといえば、「リング」シリーズと並んで、「Jホラー」の代名詞的存在です。「リング」同様に、ハリウッドでリメイク版も作られています。

 「呪怨―終わりの始まり―」は、「呪怨」シリーズの劇場版第3弾です。
 「感染」「シャッター」などホラー映画で知られる落合正幸監督の作品で、ヒロインには女優、タレントなど幅広く活躍している佐々木希が演じています。また、青柳翔、トリンドル玲奈、金澤美穂、高橋春織、黒島結菜といった若手陣が迫真の演技を見せてくれます。

 「呪怨」は、もともと1999年に発売された清水崇監督・脚本によるホラーのビデオ作品です。それを原作とする劇場版「呪怨」が2003年1月に単館系で公開され、ホラー映画ファンたちから絶大な支持を得ました。同年8月には続編の「呪怨2」も公開されています。「呪怨」シリーズには、佐伯伽椰子という女性の霊やその子供である佐伯俊雄の霊が登場しますが、その姿は見るものに強烈なインパクトを残します。そのため、「リング」シリーズの山村貞子と並んでコントやパロディのキャラに使用されることもあります。

 タイトルである「呪怨」とは、「"強い恨みを抱いて死んだモノの呪い。 それは、死んだモノが生前に接していた場所に蓄積され、『業』となる。 その呪いに触れたモノは命を失い、新たな呪いが生まれる。"」という意味であることが映画の冒頭で紹介されます。
 今や佐伯家は、日本映画を代表する幽霊屋敷となった観があります。
 「呪怨―終わりの始まり―」では、家に関わった者全てに死を招く呪怨の秘密も明かされています。この映画を観てから、第1作、第2作を観直すと、これまで不可解だったことの真相が見えてくるかもしれません。

 映画公式HPの「イントロダクション」には次のように書かれています。


「日本国民が選ぶ『最も怖い映画シリーズ』堂々第1位。」「ハリウッドリメイクもされ世界中を恐怖の渦に巻き込んだ『呪怨』再誕!」「かつてその家で凄惨な末路を辿った佐伯一家。足を踏み入れた者全てを、呪い殺す―。しかし、その"呪怨"には衝撃の真実が隠されていた。いま遂に明らかになる"終わりの始まり"。その時世界は凍りつき、地獄と化す。」

 また、映画公式HPの「あらすじ」には、以下のように書かれています。


「小学校3年生の学級担任を急きょ務めることになった結衣(佐々木希)は、不登校を続けている生徒・佐伯俊雄の自宅を訪問した。
 しかしその日をきっかけに、彼女の身に不可解な現象が起こり始める。その家には、足を踏み入れたもの全てが奇妙な死を遂げる『呪われた家』だったのだ。少しづつ明らかになる佐伯家の過去。
 次から次へと起こる怪事件。しかし結衣は、この家に導かれるように、再び足を踏み入れる―。果たして、すべては強い怨念を抱いたまま死んだモノのノロイによる"業"の仕業なのか。
 『呪われた家』の知られざる秘密とは・・・・・・?」

 今月末、面白そうな映画が続々と公開されます。6月27日には、中島哲也監督作品で役所広司が主演する「渇き。」が、28日にはジョニー・デップ主演のSFサスペンス「トランセンデンス」とこの「呪怨―終わりの始まり―」が公開されています。しかし、ネットなどで評価を見ると、どの作品も非常に低いです。ヤフー映画では、いずれも2点台となっていますね。すぐネットの評価を参考にする風潮は好きではないのですが、先日もある人から「一条さんのブログを読むと、『ノア 約束の舟』をあまり評価されていなかったので、観るのをやめました」と言われ、複雑な気分になりました。

 「呪怨―終わりの始まり―」は特にネットでの評価が低かったのですが、実際に観てみると、なかなか面白かったです。「どうして、こんなに評価低いの?」と首を傾げてしまいますね。今や、幽霊などよりもネットのほうが不可解であり、不気味ですね。

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白石晃士監督のホラー映画のDVD


 わたしが「呪怨―終わりの始まり―」を観たいと思ったのには理由があります。ここ最近、講演やシンポジウムの後などで疲れた夜、酒を飲みながら映画のDVDを鑑賞していたのですが、「ノロイ」(2005)「オカルト」(2009)「カルト」(2013)というホラー映画を続けて観ました。いずれも、Jホラーの鬼才である白石晃士監督のフェイク・ドキュメンタリーですが、どれもムチャクチャ面白かったです! わたしは「呪いとは、脳のウィルス感染である」と考えており、心霊の問題というよりも情報処理の問題であると思っています。これらの作品を観て、それを再確認しました。

 じつは、わたしは「オカルト」「カルト」を先に観て、この2作があまりにも面白かったので、製作順では最も古い「ノロイ」のDVDを後から注文し、27日の夜に鑑賞しました。すると、DVDのパッケージの中から「呪怨―終わりの始まり―」のチラシが出てきました。それを見ると、「6・28」と書かれているではないですか! これはもう「明日、この映画を観よ!」という神のお告げに違いない(笑)と思い込んだ次第です。

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呪怨―終わりの始まり―」の公開を「ノロイ」のDVDで知る!


 「呪怨―終わりの始まり―」は、ホラー映画にうるさいわたしの好みにも合う作品ではありましたが、難を言えば、「わかりやす過ぎる」ということ。劇場には中学生とおぼしき集団が多く、上映中の私語が多くて閉口したのですが、あまり大人の姿は見えませんでしたね。
 最初から中学生向けに作られたわけでもないでしょうが、サービス過剰というか説明が行き届き過ぎていて、第1作、第2作のような不条理な怖さが薄れていたのが残念ではありました。突然、俊雄や伽椰子がどアップで出てきて怖いのは怖いですが、この怖さは遊園地のお化け屋敷の怖さです。ラストシーンも、ハリウッドの能天気なB級ホラーみたいでした。Jホラーにはもっとジメーっとした怖さが似合います。

 ちょうど今、『Jホラー、怖さの秘密』(メディアックス)という本を読み終えたのですが、最後に「呪怨―終わりの始まり―」についての落合正幸監督へのインタビューが掲載されており、そのコメントが紹介されています。


「今度の伽椰子は今までの伽椰子とはかなり違います。日本の幽霊はただそこに佇んでいるだけ、化けて出るだけってことが多いですけれども、この『呪怨』の伽椰子はすごく攻撃的なんです。心霊写真って、写真の奥の方にぼうっと写っているだけでも、日本人が見ると『怖い』って思うじゃないですか。だけど、アメリカ人なんかは動きもしない、奥の方に立っているだけの幽霊は、気の弱い幽霊だって言う。そういう意味では今回の伽椰子はアメリカ的というか、妬みとか恨みで攻撃的に絡んできます」

 なるほど、今回の伽椰子はアメリカ的なのですね。
 ということは、落合監督はアメリカでの公開も想定しているのでしょう。7月4日の台湾、7月10日の韓国をはじめとしてモンゴル、インドなどアジア14か国での公開も決定しているそうで、全米公開も夢ではないかもしれません。しかし、わたしとしては、別にアメリカで公開されたり、世界中でヒットしなくてもいいから、日本人が震えあがるようなJホラーを作ってほしいと思います。「呪怨」「呪怨2」は、日本的な怖さに満ちていました。

 「呪怨」シリーズの魅力として、日本を代表する「旬の美女」が出演することがあります。第1作では奥菜恵と伊東美咲、第2作では酒井法子と新山千春が、そして今回の第3作では佐々木希とトリンドル玲奈が出演しました。彼女たちが恐怖で悲鳴をあげるシーンは堂に入っていましたが、いずれも表情が良かったです。落合監督は、その秘密は「目」にあるとして、くだんのインタビューで「恐怖映画ですから、お客さんはみんな、佐々木希ちゃんの目を追いますよね。だから、彼女みたいに綺麗で大きな目をしている女性っていうのは、ホラーによく向いていると思いますね」と答えています。

 「呪怨」シリーズの番外編として、2009年に「呪怨 白い老女」「呪怨 黒い少女」の2作が同時公開されています。「呪怨」の最初のビデオ作品が1999年に作製されたことから10周年記念作品という触れ込みでした。わたしはまだ観ていないのですが、前者は南明奈、後者は加護亜衣が主演しています。俊雄クンもカメオ出演しているとのことで、この2作を観たくなりました。早速、アマゾンに注文しましたが、南明奈や加護亜衣の恐怖の表情は佐々木希と比べてどうでしょうねぇ?

  • 販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン
  • 発売日:2014/11/06
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