No.0342
「こどもの日」は、なぜか怪獣のことを考えます。
昭和の男の子なら誰でもそうでしょうが、わたしは怪獣大好き少年でした。ゴジラ、ガメラ、レッドキング、エレキング......お気に入りの怪獣の名前と雄姿が次々に浮かんできます。日本の「怪獣」は、今や世界の「KAIJU」となりました。この日、シネコンで流しているわが社のCMチェックを兼ね、T・ジョイリバーウォーク北九州で、今どきのKAIJUたちが大暴れする映画「パシフィック・リム:アップライジング」を観ました。
ヤフー映画の「解説」には、以下のように書かれています。
「2013年に公開されたSFアクション『パシフィック・リム』のシリーズ第2弾。平穏を取り戻した地球に進化したKAIJUが再び出現し、人類と激闘を繰り広げる。監督はドラマシリーズ「スパルタカス」などに携わってきたスティーヴン・S・デナイト。『デトロイト』などのジョン・ボイエガ、『スクランブル』などのスコット・イーストウッド、『バベル』などの菊地凛子、『ちはやふる』シリーズなどの新田真剣佑らが出演する」
また、ヤフー映画の「あらすじ」には以下のように書かれています。
「巨大兵器イェーガーを駆使する人類とKAIJUたちとの激闘から10年。今は亡き英雄ペントコストの息子でイェーガー・パイロットとしての活躍を期待されていたジェイクは、環太平洋防衛軍(PPDC)を去って違法なイェーガーのパーツ売買を行っていた。だが、戦地からイェーガーのパーツを盗んでいたアマーラと共に逮捕され、PPDCのパイロット養成施設へ送られる。そこで彼は義姉のマコ(菊地凛子)に命じられ、イェーガー・パイロットの候補生の教官を務めることになる」
一条真也の映画館「パシフィック・リム」で紹介した前作は、素晴らしい怪獣vs巨大ロボットのSFアクション映画でした。男子(オッサン含む)にはたまらない魅力の作品で、たいへんコーフンしました。監督は、鬼才ギレルモ・デル・トロ。彼は大の怪獣好き、ロボット好きだそうで、その怪獣愛、ロボット愛が「パシフィック・リム」には溢れ返っていました。ちなみに、この映画は「ゴジラ」「地球防衛軍」「宇宙大戦争」「モスラ」「キングキング対ゴジラ」などの本多猪四郎、「原子怪獣現わる」「水爆と深海の怪物」「シンドバッド7回目の冒険」「アルゴ探検隊の大冒険」「タイタンの戦い」などのレイ・ハリーハウゼンに捧げられています。
物語は2013年に始まります。突然、太平洋の深海から未知の巨大生命体が出現し、それは「KAIJU」(怪獣)と呼ばれます。異次元の裂け目から次々に現れるKAIJUは世界各国の都市を次々と破壊します。瞬く間に破滅寸前へと追い込まれた人類は、一致団結して科学や軍事のテクノロジーを結集します。そして、ついにKAIJUと戦闘可能な人型巨大兵器「イェーガー」の開発に成功するのでした。各国から選びぬかれた精鋭たちはパイロットとしてイェーガーに乗り込みます。彼らは勇猛果敢にKAIJUに立ち向かっていき、人類は絶滅の危機を乗り越えたのでした。しかし、それから10年後、KAIJUたちは再び人類の前に出現します。しかも、従来のカテゴリーからは信じられないサイズに進化して......。
巨大化したKAIJUたちを迎え撃つのは、すべてにおいてアップグレードされた新生イェーガーです。一条真也の映画館「レディ・プレイヤー1」で紹介したスティーブン・スピルバーグ監督作品が、ちょうど同時期に劇場公開されています。このSF映画では、VR(バーチャル・リアリティ)の世界において、メカゴジラ対ガンダムの夢の巨大メカ対決が実現し、大きな話題となっています。「パシフィック・リム:アップライジング」でも、メカ対メカのド迫力バトルが繰り広げられます。しかし、わたしとしてはやはり、怪獣vs巨大ロボットのほうが燃えますね。さらに本音を言えば、巨大ロボットよりも、ウルトラマンやウルトラセブンのような巨大ヒーローのほうが好みなのですが......。
「パシフィック・リム:アップライジング」を観た感想ですが、やはり前作のインパクト、面白さにはかないませんね。なんといっても、前作にはギレルモ・デル・トロの怪獣愛、ロボット愛がたっぷり込められていましたから。もちろん、本作のスティーヴン・S・デナイト監督にも怪獣やロボットへの愛情はあるのでしょうが、相手がギレルモ・デル・トロでは分が悪いのも仕方ありません。もっとも、デナイト監督は「東京の街を破壊してみたい」という夢を持っていたそうで、それはじゅうぶんに叶えられました。
ただ、この映画に登場する東京の街はなんだか上海みたいでした。ビルのサインや巨大看板を見ても、日本語というよりも中国語のような印象でした。でも、KAIJUたちが富士山をめざすというストーリーは、やはり日本人としては嬉しいですね。富士山がバリバリの活火山で、今にも噴火しそうなほどマグマが燃えたぎっているのには引きましたけれども。でも、東京や富士山を舞台にしたのは、怪獣映画の本場である日本へのリスペクトの表れなのでしょうね。上映時間は1時間51分ですし、内容的にも「大作」というほどの作品ではありません。しかし、それなりに楽しめましたし、もうすぐ55歳になるオッサンを少しの間だけ「こども」に戻してくれました。