No.496


 20日の日曜日も寒いですね。一条真也の新ハートフル・ブログ「『鬼滅の刃』の本、書き上げました!」で紹介したように、執筆していた次回作『「鬼滅の刃」に学ぶ』をついに脱稿しました。興奮状態になったわたしは、そのまま近くのシネコンに向かいました。どうしても観たい映画があったのです。わたしの大好きなガル・ガドットが主演した「ワンダーウーマン 1984」です。一条真也の映画館「ワンダーウーマン」で紹介した映画の続編。徹夜続きで意識は朦朧としていましたが、セクシーなガドット姐さんの魅力がわたしの脳をガツンと直撃!(笑)

 ヤフー映画の「解説」には、こう書かれています。
「『ワンダーウーマン』のガル・ガドットとパティ・ジェンキンス監督が再び組んだアクション。恋人を亡くして沈んでいたヒロインの前に、死んだはずの恋人が現れる。前作に続いてクリス・パインが恋人を演じ、『ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン』などのクリステン・ウィグをはじめ、ロビン・ライト、ペドロ・パスカルらが共演」

 ヤフー映画の「あらすじ」は、以下の通りです。
「スミソニアン博物館に勤める、考古学者のダイアナ(ガル・ガドット)には、最強の戦士『ワンダーウーマン』というもう1つの顔があった。1984年、禁断の力を入手した実業家・マックス(ペドロ・パスカル)のたくらみにより、世界のバランスがたちまち崩れ、人類は滅亡の危機に陥る。人並み外れたスーパーパワーの持ち主であるワンダーウーマンは、マックスが作り上げた謎の敵チーターに1人で立ち向かう」

 アメリカン・コミックが原作なだけあって、「ワンダーウーマン 1984」はテンポもよく、難しいことを考えずに楽しめるエンターテインメント大作でした。恋愛シーンも戦闘シーンも盛りだくさんで、とにかく飽きさせません。そして、奇想天外な物語の中心に美女がいるということが重要なポイントです。わたしは最近、よく映画関係者とお会いして意見交換することが多いのですが、「映画には美女が必要!」というのはわが持論です。どんな手強いフェミニストが相手であっても、この点だけは絶対に譲りません。そして、世界最高の美女であるとわたしが認めるガル・ガドットが主演する「ワンダーウーマン」シリーズこそは、「映画の中の映画」と言ってよいでしょう。

 ワンダーウーマンことダイアナは、幼い頃から勇敢でした。そして、美しい大人の女性に成長してからは、どんな大人の男もかなわない強い女性戦士として活躍します。わたしはずっと『鬼滅の刃』を書いていましたので、同作のヒロインである禰豆子のことを連想しました。『鬼滅の刃』は「週刊少年ジャンプ」に連載された少年漫画ですが、これまでの少年漫画の典型的なヒロイン像は守護する、もしくは恋愛の対象であり、主体的に主人公と敵との戦いに参加することは稀なものでした。しかし、禰豆子は兄である炭治郎に守られているだけでなく、ときには敵と戦って炭治郎を守ります。世界的に見ても、社会的な価値観の変動とともに、いわゆる「お姫様」の代名詞ともいえるディズニーヒロインすら「アナと雪の女王」のアナとエルザのように主体的に物語に関わり、自力で問題を解決していくスタイルが確立されつつあります。物語の添え物ではないヒロイン像も求められているわけですが、その理想的な存在こそワンダーウーマンです。

『鬼滅の刃』といえば、鬼舞辻無惨という鬼の始祖が登場します。平安時代に生まれた彼は鬼と化し大正時代まで生きますが、炭治郎ら鬼殺隊の活躍によって、最終決戦ではついに太陽光に滅せられます。しかし、その死に至るまでの悪あがきにはすさまじいものがありました。まさに「生き汚さ」という言葉を強く感じてしまいました。彼は老いることと死ことを異常に恐れ、「不老不死」を得て、「完全な生物」をめざします。最後は、炭治郎に自身の血を与えて鬼と化します。無惨は炭治郎を「完全な生物」の後継者にしようとするのでした。「ワンダーウーマン 1984」にも、鬼舞辻無惨のような女性キャラが登場します。チーターです。もともとはバーバラというという学者でした。スミソニアン博物館でダイアナの同僚だったバーバラは、ダイアナに憧れるあまり、願いを叶えるという謎の石に「ダイアナのようになりたい」と願をかけます。その後、ダイアナのような強さと美貌を得た彼女は、欲望がエスカレートして、ついには「生物の頂点に立ちたい」という途方もないことを願うのでした。これを見て、わたしは「あさましい。鬼舞辻無惨の女版だな!」と思いました。

 バーバラに接近して、「願いを叶える石」を奪ったのが、ペドロ・パスカルが演じたマックスウェル・"マックス"・ロードです。石油会社ブラック・ゴールドの経営者で、マックス・ロードは芸名。テレビCMを打って出資者を集めており、巷では有名人です。しかしながら、会社の実情は完全に破綻しており、出るはずの石油は出ず、共同経営者のサイモンからは見切りをつけられる始末でした。マックスは、願いを叶える石が博物館にあることからバーバラに接近、篭絡して願いを叶える石を手に入れます。しかし、自分自身を「願いを叶える石」にしてしまったことで暴走し始めるのでした。

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マックスのモデルはトランプ?(映画公式サイト)



 この「願いを叶える石」に願をかけた人は、願いを叶えてもらうかわりに、その人の一番大切なものを奪うという代償を払わなければなりません。これは、ジェイコブズの有名な怪奇小説「猿の手」とまったく同じですが、この映画では登場人物たちが説明抜きで「まるで猿の手ね」とか「それじゃ猿の手と同じだな」と自然に語っているので、わたしは「おいおい、猿の手って、そんなにアメリカじゃ有名なの?」と思ってしまいました。マックスのモデルは、明らかにドナルド・トランプです。マックスもトランプも、「勝つのはわたしだ」という信念の持ち主であり、「思考は実現する」という考え方の持ち主でもありました。

 一条真也の新ハートフル・ブログ『トランプ時代の魔術とオカルト・パワー』で紹介した本の第1章「勝つのはわたしだ」では、「ポジティブ・シンキングの祖、ピール牧師」として、トランプのポジティブ・シンキングのメンターは、この言葉を世に広めたノーマン・ヴィンセント・ピール牧師という人物だったことが紹介されます。同書には、「ピールの著書『積極的考え方の力』は、1952年の刊行直後から大ヒットし、98週間ものあいだ、『ニューヨーク・タイムズ』紙のベストセラーリストで首位を独走した。この本は著者自身を富豪にし、自助・自己改善書市場でいまだ堅実な売れゆきをみせている。ピールはアーネスト・ホームズ、チャールズ・フィルモア、ナポレオン・ヒルといった初期ニューソート作家たちの本を読んで、かれらの思想に没頭し、心は現実にダイレクトに影響を与えることができる、もしくは、最も基本的な言葉でいえば『思考はものごとの原因となる』というかれらの根本的洞察を吸収した。これが意味するのは、人は思考だけで周りの世界を変えられるということだ。これが魔術でなければ何であろうか」と書かれています。

 ピールの「ポジティブ・シンキング」の教えは、ドナルド・トランプの父親であり自身も成功的ビジネスマンだったフレッド・トランプの心をとらえました。フレッドは「ピールのような人はほかにはいない」と語り、ドナルドもその評価に同意しました。著者は、「トランプは人生でふたりの師がいたと認めている。ひとりは父親、もうひとりはピールだ。父親に対するかれの大きな尊敬を考慮すると、ピールに対する評価は実に賛美にも等しいものだった。トランプはピールを『偉大な教師であり、偉大な演説者』と呼び、あるときはかれの説教を聞いたあと、『1時間もその場に座って』いられるようにさえ感じたという。トランプがピールの説教から吸収した宗教的または霊的内容がどのようなものだったかについては議論があるかもしれない。だが、トランプは明らかに、師の『話す能力』と『思考プロセス』に感銘を受けていた」ことを紹介します。

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法則の法則』(三五館)



「思いは現実化する」ポジティブ・シンキングの考えは、「引き寄せの法則」としても知られています。わたしは、2008年7月に上梓した『法則の法則』(三五館)において、「引き寄せの法則」のルーツが「ニューソート」というアメリカの新興宗教にあることを明らかにしました。19世紀の思想家プレンティス・マルフォードは、「人生で、あなたに起きている事は、全てあなたが引き寄せています。あなたが、思い、イメージすることが、あなたに引き寄せられて来るのです。それは、あなたが考えていることです。なにごとであれ、あなたが考えていることが、あなたに引き寄せられてくるのです」と語りました。また、自己啓発において現代の第一人者として知られているボブ・プロクターによれば、世界の1%の人々が世界の96%の富を握っているといいます。それは偶然ではなく、彼らの思考の大半を富や豊かになることが支配していたからだそうです。気づくか気づかないかは関係なく、彼らは富のことばかり考えていたので、富がやって来たというのです。つまり、「引き寄せの法則」が作動したわけです。なお、『法則の法則』では、「猿の手」についても詳しく紹介しています。

 さて、ダイアナを演じるガル・ガドットは相変わらず美しいですが、心なしか前作よりも表情が穏やかになった印象です。それは2017年に製作された前作から3年の時間が経過していることも理由かもしれません。ガドットがワンダーウーマンとしてデビューしたのは一条真也の映画館「バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生」で紹介した2016年の映画ですが、あれからすでに4年が経っています。当時のガドットは31歳でしたが、現在は35歳。当然ながら加齢による美貌の衰えがあるかと思いますが、彼女に関してはまったくそんなものを感じさせません。むしろ、女性としての優しさ、柔らかささえ醸し出しています。これは、彼女自身が母親であることも大きく影響していると思います。それにしても、本当に彼女は美しい。最後に、「願いが叶う石」が現実にあるとしたら、わたしはきっと、「ガル・ガドットに会いたい!」と願うことでしょう。(笑)