No.733


 東京に来ています。
 7月4日、新しいグリーフケア対談などの企画について出版関係者と打ち合わせました。その夜、シネスイッチ銀座で韓国映画「告白、あるいは完璧な弁護」を観ました。最近、日本の法制度に対して疑問を抱く出来事がわたしの身近で起こり、非常に興味深く鑑賞しました。主人公の「俺はやってない!」という叫びが今も耳に残っています。
 
 ヤフー映画の「解説」には、こう書かれています。
「密室殺人の容疑をかけられた実業家が潔白を証明するため、すご腕の弁護士と共に事件の真相を探るサスペンススリラー。『マリン・ボーイ』などのユン・ジョンソクが監督・脚本を務め、『王になった男』などを手掛けたリアライズピクチャーズが製作を担う。主人公を『Be With You~いま、会いにゆきます』などのソ・ジソブ、彼に雇われた弁護士を『セブンデイズ』などのキム・ユンジン、主人公の不倫相手をガールズグループ『AFTERSCHOOL』のナナが演じる」
 
 ヤフー映画の「あらすじ」は、以下の通りです。
「IT企業の社長ユ・ミンホ(ソ・ジソブ)の不倫相手であるキム・セヒ(ナナ)が、ホテルの密室で不審死を遂げる。彼女の殺害容疑をかけられたミンホは身の潔白を証明するため、すご腕の弁護士ヤン・シネ(キム・ユンジン)を雇って事件の真相解明に乗り出す。彼は事件前日に起きた交通事故がセヒ殺害に関わっているかもしれないと告白し、事件の再検証が始まる。そんなとき、突如現れた目撃者の存在によって事態は思わぬ方向へと向かう」
 
 この映画はストーリーを詳しく追っていくと必ずネタバレになってしまいます。とにかく、次から次に意表を衝く急展開の連続で、まったくスクリーンから目が離せません。一条真也の映画館「22年目の告白―私が殺人犯ですー」「最後まで行く」で紹介した日本映画のオリジナルも韓国のサスペンススリラー映画でしたが、韓国映画のシナリオの素晴らしさは目を見張ります。「告白、あるいは完璧な弁護」も日本でリメイクされるかもしれませんね。あと、ハリウッドのようにポリコレに走らず、韓国映画の主役は美男美女を堂々と使っているところも気持ちが良いです。それにしても、ナナって可愛いですね!
 
 ホテルの密室殺人の容疑をかけられた実業家は、凄腕の弁護士を雇って無実を証明しようとします。最近、わたしの周囲でも不可解な事件が発生し、わが社の顧問弁護士さんのお世話になりました。弁護士さんが優秀なら無実を晴らすことができますが、それはあくまでも本当に無実だった場合です。たとえ自分の身に覚えのない容疑をかけられたとしても、やっているなら「やりました」、やっていないなら「やっていません」と正直に話さないと的確な弁護ができません。それは警察の取り調べに対しても同じです。
 
 また、人をはめて無実の罪を被せようとしても、悪事は必ず見破られるということを、この韓国映画は示しています。「正義は勝つ」という儒教的な価値観が表現されているといってもいいかもしれません。そして、いわれのない不幸な目に遭った者を救うのは家族しかいないというメッセージも込められているように思います。でも、この映画は決して堅苦しいイメージとは無縁で、とにかく面白いエンターティンメントです。交通事故の後始末やホテルでの殺人の方法など、ところどころリアリティに欠ける部分はありますが、それを補って余りある圧倒的な面白さでありました。韓国映画おそるべし!