No.876


 韓国映画「貴公子」を小倉コロナワールドシネマで鑑賞。土曜日夕方の2番スクリーンの観客数は、わたしを入れて5人でした。一条真也の映画館「ビニールハウス」「パストライブス/再会」で紹介した作品のように、最近面白い韓国映画を続けて観たので期待していましたが、やはり面白かったです。韓国映画は、脚本が日本人に合いますね。
 
 ヤフーの「解説」には、こう書かれています。
「巨額の遺産を巡って繰り広げられる壮絶な攻防戦を描くアクションノワール。監督・脚本を務めたのは『THE WITCH/魔女』シリーズなどのパク・フンジョン。周囲を翻弄する謎の男・貴公子をドラマ『海街チャチャチャ』などのキム・ソンホ、予想もしなかった事態に巻き込まれる青年をドラマ『こんにちは? 私だよ!』などのカン・テジュが演じ、『死体が消えた夜』などのキム・ガンウ、『朝鮮魔術師』などのコ・アラらが共演する」
 
 ヤフーの「あらすじ」は、以下の通りです。
「フィリピンで病気の母と暮らすマルコ(カン・テジュ)は、アンダーグラウンドのボクサーとして日銭を稼いでいた。ある日、父の使いを名乗る男が現れ、一度も会ったことのない韓国人の父が自分を捜していることを知る。韓国へ向かう飛行機の中で、彼は自らを友達と呼ぶ見知らぬ男・貴公子(キム・ソンホ)と出会う。薄気味悪さを感じて逃げ出すマルコだったが、どこまでも執拗に追いかけてくる貴公子の狂気に追い詰められていく」
 
 キム・ソンホという俳優は初めて知ったのですが、笑顔の似合うなかなかのイケメンです。国際弁護士の小室圭さんにちょっと雰囲気が似ていると思いました。昔の別所哲也にも似ているかも。カン・テジュ演じるマルコが逃亡中に車に跳ね飛ばされたとき、運転していた謎の女性ユンジュを演じたコ・アラという女優も初めて見ましたが、こちらは白石麻衣に似ていると思いました。白石麻衣は韓国女優のク・ヘソンにも似ていると言われるそうなので、彼女は韓国の美人顔なのかもしれませんね。それとも、整形大国である韓国でモデルとすべき整った顔が白石麻衣に似ているのかも......。よく知りませんけど。
 
 映画「貴公子」はアクションノワールということですが、やはりアクションシーンは見応えがありました。冒頭、フィリピンのアンダーグラウンドのボクシング試合が描かれますが、マルコを演じたカン・テジュの動きなかなかのもので、運動神経の良さを感じさせました。貴公子役のキム・ソンホも運動神経では負けていません。逃げるマルコを追う貴公子・・・2人が全速力で疾走するシーンのスピード感は他に類を見ないレベルです。格闘シーンもリアルで良かったです。韓国の男性には兵役があるせいか、みんな細マッチョな印象がありますね。
 
 アクションシーンといえば、カー・チェイスも迫力がありました。メルセデス・ベンツをはじめ、登場する車がすべて黒塗りの高級車なのですが、急なUターンなど、かなりのドライブ・テクを持ったスタントマンを起用したと見ました。そして、なんといっても、銃撃戦がド迫力でした。貴公子とユンジュの銃撃戦がYouTubeで公開されていますが、ラスト近くの手術室での銃撃戦も緊迫感に溢れていました。命のやりとりをしている場面でニヤリと笑う貴公子の表情が印象的でしたね。
 
 映画「貴公子」には、「コピノ」という言葉が何度か登場しました。最初は意味がわからなかったのですが、韓国の男性とフィリピンの現地女性の間で生まれた2世をフィリピンで言う言葉なのですね。 コリアンとフィリピーノの合成語ということです。コピノとしてフィリピンで生まれたマルコは病気の母親とともにアンダーグラウンドで最底辺の暮らしを送っています。そこに、さまざまな人物が彼の前に現われ、彼は韓国の大富豪の息子であることが明かされます。その遺産争いに巻き込まれたわけですが、物語は後半で意外な展開を見せます。いずれにせよ、遺産相続をめぐっての争いというものは嫌なものですし、相続のために親族が「争族」となるのは避けたいもの。「貴公子」を観終わって、そんなことを感じました。最後まで、キム・ソンホが爽やかだったのが救いでした。