No.1295


 6月21日、一条真也の映画館「劇場版『旅人検視官 道場修作』」で紹介した作品を観た後、続けて日本映画「免許返納!?」をローソン・ユナイテッドシネマ小倉で鑑賞。正直あまり期待していませんでしたが、いやはや想定外の面白さでした!
 
 ヤフーの「解説」には、こう書かれています。
「免許返納をテーマに、『あぶない刑事』シリーズなどの舘ひろしが主演を務めたコメディー。70歳を迎えながらもアクション映画への出演を望む俳優が、同年代の俳優仲間が起こした事故に対する発言をきっかけに免許返納の危機に直面する。『かぐや様は告らせたい』シリーズなどの河合勇人が監督、『ラーゲリより愛を込めて』などの林民夫が脚本を担当。共演には『少年と犬』などの西野七瀬、『怪物』などの黒川想矢、『おいハンサム!!』シリーズなどの吉田鋼太郎、『アイ・アム まきもと』などの宇崎竜童らがそろう」
 
 ヤフーの「あらすじ」は、以下の通りです。
「かつてアクションで一時代を築き、70歳を迎えた映画俳優の南条弘(舘ひろし)は数々の映画賞を受賞しながらも、内心ではアクション映画への出演を望んでいた。そんな中、同年代の俳優仲間・尾崎誠(宇崎竜童)が起こしたバイク事故へのコメントが思わぬ注目を浴び、自身の意図とは異なる形で拡大解釈されてしまう。今後も愛車のフェラーリに乗り、バイクでのアクションシーンを演じたい弘だったが、周囲からは免許返納を期待され人生最大のピンチに陥る」
 
 本作は東映映画ですが、いきなり冒頭に「日活」のオープニングロゴが登場して驚きました。舘ひろし演じる主人公の南条弘主演の日活アクション映画「ハーレー・ライダー」を流す演出としてでしたが、こういう遊び心はいいですね! 冒頭からいきなり「つかみはOK牧場!笑」でした。45年前の映画という設定で、CGもAIも使いまくって、登場する舘ひろしも宇崎竜童も若いです。そして、カッコいいです! 舘ひろしは若い頃、革ジャンにサングラスで大型バイクにまたがり、東京・原宿でオートバイチーム「COOLS」を結成。それが芸能関係者の目に留まったわけですから、ライダー姿はまことにサマになっていました。

 そんなハーレー・ダビッドソンの似合う男が演じる大御所俳優の南条弘の愛車はフェラーリです。若い頃に見て一発で惚れ込んだという愛車に乗るのを何よりの楽しみにしている南条ですが、宇崎竜童演じる俳優仲間の尾崎誠が起こしたバイク事故へのコメントが発端となって、思いもしない「免許返納」へと追い込まれます。政府広報の「免許返納」のCMにまで出演し、もう彼には後がありません。でも、「70歳になったら免許返納を」という主張には一理も二理もあると思いました。いくら自分では若いと思っても寄る年波には勝てません。加齢によって視力も衰え、集中力も鈍るもの。もし人身事故でも起こしてしまったら、晩節を汚すことになります。わたしも70歳での免許返納を考えたいと思いました。
 
 実際の舘ひろしは76歳ですが、相変わらずカッコいいですね。ブログ「第48回日本アカデミー賞授賞式」で紹介したイベント会場で初めて至近距離で彼を見たのですが、その存在感は他を圧していました。高身長と好スタイルに加えて姿勢が良いこともあるのでしょうが、放つオーラは矢沢永吉に通じるものを感じました。そんなカッコいい舘ひろしですが、コメディでも名演技を見せてくれます。彼のコメディは 一条真也の映画館「終わった人」で紹介した2018年の作品以来ですが、大笑いできました。「終わった人」は一般社団法人 全日本冠婚葬祭互助協会(全互協)が特別協賛しました。内館牧子の小説を、舘ひろしを主演に迎えて映画化。定年退職し世間から終わった人と見なされた元会社員の悲哀と、そんな夫と向き合えない妻の関係をハートフルに描きました。
 
 本作「免許返納!?」で特に笑えたのは、南条の古稀を祝うパーティーで祝辞を述べた尾崎が南条をディスりまくるところでした。尾崎は南条のことを「老害」呼ばわりまでするのですが、南条はなんとか「厳しい意見を言ってくれた方にも感謝です!」と言ってその場は誤魔化します。しかし、その後の控室では「あの野郎!」と怒り心頭でした。その場面を見て、わたしは一条真也の映画館「儀式」で紹介した大島渚と野坂昭如のエピソードを思い出しました。1990年10月、大島渚は妻で「儀式」にも出演した女優の小山明子と結婚30周年記念パーティーを東京プリンスホテルで盛大に開きました。そこで作家の野坂昭如が壇上で大島を殴るという大騒動が発生したのです。この騒動について「儀式を笑う者は、儀式に泣く」と思えてならないのはわたしだけではありますまい。

 本作「免許返納!?」には、舘ひろし・宇崎竜童の他にもいろんな役者が出演していますが、南条のマネジャー役をやった西野七瀬が良かったですね。「おしん」の小林綾子を思わせる国民的子役出身という設定でしたが、コミカルでチャーミングでした。彼女は一条真也の映画館「君の忘れ方」で紹介したわが原案映画でヒロインを演じてくれましたが、グリーフケア映画でもコメディ映画でも存在感を発揮できるのは素晴らしいことです。それから、スナックのママの役だった南野陽子も良かった。彼女は、20年前に「ハーレー・ライダー」のリバイバル上映を観て以来の南条ファンという設定でした。
 
 南野陽子演じるママは、なんといっても舘ひろしの「泣かないで」を南条とデュエットしたときの恍惚の表情が秀逸でした。名曲「泣かないで」を久々に聴きましたが、とても心に沁みました。歌詞もメロディも舘ひろしのセクシーな歌声も最高です。今度、カラオケで挑戦してみたいと思います。最後に、仙台のヤクザの親分役で内藤剛志が登場したのには仰天しました。だって、本作の直前に観た「劇場版『旅人検視官 道場修作』」で彼は元検視官を演じていたからです。なんでも彼の膨大な出演作の9割が刑事などの警察関係者の役だそうですが、まさかヤクザの役とは! 正反対の役柄でも器用に演じ分ける俳優って凄いですね!