No.585


 4月3日の日曜日、シネプレックス小倉で映画「モービウス」を観ました。一条真也の映画館「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」で紹介した映画に続くマーベルの最新作です。ニューヨークを舞台とするヒーローのスパイダーマンに敵対するヴィランの物語ですが、まあまあ面白かったです。

 ヤフー映画の「解説」には、「マーベルのキャラクター、モービウスを主人公にしたアクション。コウモリの血清を用いて血液の難病を治療したために、肉体や能力が激しく変貌した彼の運命を描く。メガホンを取るのは『ライフ』などのダニエル・エスピノーサ。『ダラス・バイヤーズクラブ』などのジャレッド・レトー、『オフィシャル・シークレット』などのマット・スミスに加え、『スパイダーマン:ホームカミング』で敵のバルチャーを演じたマイケル・キートンが出演している」と書かれています。

 ヤフー映画の「あらすじ」は、以下の通りです。
「ノーベル賞に輝くほどの頭脳を誇り、数多くの患者の命を救ってきた医師マイケル・モービウス(ジャレッド・レトー)。しかし、治療法のない血液の難病を幼いころから患っており、身体はやせ細り、松葉杖を使わなくては歩くことさえ難しかった。病が命をむしばんでいくと感じた彼は、コウモリから採取した血清を投与するという治療に懸けてみることに。その結果、病気は回復するが、超音波を発して周囲の状況を感知する能力や飛行能力を手にすると同時に、血液を激しく欲するようになってしまう」

「ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース」の第3作目である「モービウス」を観ながら、わたしは「これは、リアル・バットマンだな」と思いました。一条真也の映画館「THE BATMAN―ザ・バットマン―」で紹介したアメリカン・ヒーローは生身の人間ですが、コウモリをイメージさせるコスチュームを着ていることから「バットマン」と呼ばれます。一方、天才医師のマイケル・モービウスは稀な血液系疾患に苦しんでおり、吸血コウモリの血清を体内に入れるという危険な治療法を試みて、治療に成功します。しかし、徐々にモービウスの体には異変が起き、やがて血を欲する吸血鬼と化してゆくのでした。彼はまさに、コウモリ男(バットマン)になったのです。

 モービウスの超人化(モンスター化?)は、スパイダーマンに似ています。スパイダーマンの正体であるピーター・パーカーは、大学の研究所を見学した際、遺伝子組み換えでスーパースパイダーとなったクモに刺されてしまいます。その瞬間、ピーターの身体に異変が起こり始めるのでした。いずれ、スパイダーマンとモービウスが直接対決する続編が作られるのでしょう、それはクモ男vsコウモリ男の対決となります。ちなみに、日本の「仮面ライダー」に登場するショッカーの最初の怪人がクモ男で、2番目がコウモリ男でした。

 コウモリ男だけあって、モービウスは空を飛びます。また、ムササビのようにマンハッタンのビルとビルの間を飛びまくります。その動きはスパイダーマンの動きにも通じるものがあり、両者の対決は迫力満点の空中戦になるのではないでしょうか? モービウスと同じく血液系疾患に苦しんでいる彼の友人マイロも、同じく吸血コウモリ男になるのですが、彼との共闘を拒んだモービウスに敵意を剥き出しにして攻撃してきます。コウモリ男同士の対決もスピーディで、緊張感に満ちていました。

 吸血コウモリ男になっているときのモービウスとマイロの顔は恐ろしく、完全にホラー映画のキャラクターとなっています。そもそも2人は吸血鬼なのですからホラーには間違いないのですが、従来の吸血鬼映画とはまったく違ったモダンな感覚があります。Wikipedia「吸血鬼映画」には、「吸血鬼映画またはヴァンパイア映画は、映画ジャンルの1つで、吸血鬼を題材とした作品を指す。基本的にはホラー映画のサブジャンルだが、ドラマ、アクション、SF、ロマンス、コメディ、ファンタジー、時にゾンビ映画などに分類される作品も多い。吸血鬼映画は、無声映画の時代から世界の映画界の定番であり、大衆文化における吸血鬼のイメージは、長年にわたる映画での描写に強く基づいている」と書かれています。
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ドラキュラはプレイボーイのパロディ?



 また、「数多くの映画作品において吸血鬼は人の生き血を好み、また他者を操る能力を持つなど設定は共通している。中には太陽光によって滅ぶといった吸血鬼映画で確立された設定もある。最も人気のある原作小説は1897年のブラム・ストーカーによる『吸血鬼ドラキュラ』であり、これまでに170以上のバージョンがある。次いで、1872年に出版されたシェリダン・レ・ファニュの小説『カーミラ』の映画化が続く。2005年までに、ドラキュラはシャーロック・ホームズを除く他のどのフィクション・キャラクターよりも多くの映画の題材となっている」とも書かれています。ドラキュラはプレイボーイのパロディとされることもあり、「モービウス」の中で女医のマルティーヌ・バンクロフト(アドリア・アルホナ)が「ドラキュラって魅力的よね」と言うシーンが印象的でした。

 モービウスを演じたジャレッド・レトーはすごく良かったです。俳優、ミュージシャンである彼は、1971年、アメリカ合衆国ルイジアナ州出身。兄や友人と共にロックバンド「サーティー・セカンズ・トゥー・マーズ」でも活動しています。本名はジャレッド・ジョセフ・ブライアント。1990年代に俳優デビューし、2013年公開映画「ダラス・バイヤーズクラブ」において、トランスジェンダーのHIV患者を演じるために30ポンドもの減量を行っています。その演技は絶賛され、2013年のハリウッド映画祭においてブレイクアウト演技賞を受賞したのをはじめ、アカデミー助演男優賞、ゴールデングローブ賞助演男優賞、放送映画批評家協会賞助演男優賞、全米映画俳優組合賞助演男優賞を受賞。2017年、マーチン・サントフリート監督の映画「アウトサイダー」で浅野忠信、椎名桔平、大森南朋、忽那汐里、HIROと共演。2018年にNetflixで全世界向けに配信されました。

 俳優ジャレッド・レトーをわたしが初めて知ったのは、一条真也の映画館「ハウス・オブ・グッチ」で紹介した映画においてです。彼は、グッチの二代目の長男で、グッチを世界的ブランドに成長させたアルド・グッチ(アル・パチーノ)の三男パオロ・グッチを演じました。独自でブランド開発を展開し、奇抜なデザインを手がけますが、あまりにも奇をてらい過ぎているために、グッチ家からははみ出し者として喧嘩が絶えない人物でした。この映画でのパオロはハゲチャビンの冴えない容姿の男だったのですが、実際のジャレッド・レトーの姿を狩れのインスタグラムで見て、非常に驚きました。ものすごいイケメンではないですか! ここまで化けるとは、俳優とは大したものですね!
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ジャレッド・レトーのインスタグラムより