No.611
7月17日の日曜日、日本映画「キングダム2 遥かなる大地へ」をリバーウォーク北九州にあるT・ジョイリバーウォーク北九州で観ました。一条真也の映画館「キングダム」で紹介した作品の続編です。前作同様に日本映画界を代表する俳優陣が総出演した豪華なエンターテインメント大作でした。
ヤフー映画の「解説」には、こう書かれています。
「原泰久のコミックを実写映画化した『キングダム』の続編で、『蛇甘平原の戦い』のエピソードを描く歴史アクション。春秋戦国時代の中国で、秦の玉座をめぐる争いから半年後、大将軍を目指す信が初陣に挑み、羌カイらと共に隣国・魏との壮絶な戦いを繰り広げる。出演は前作に続いて山崎賢人や吉沢亮、橋本環奈らのほか、羌カイ役で『今日から俺は!!』シリーズなどの清野菜名が参加。監督は前作と同じく佐藤信介が務める」
ヤフー映画の「あらすじ」は、「春秋戦国時代、中華の西方にある国・秦。身寄りのない信(山崎賢人)が若き王・エイ政(吉沢亮)に協力し、玉座を奪還して半年。隣国の魏が秦に侵攻を開始する。秦軍に歩兵として加わった信は、子供のような姿の羌カイ(清野菜名)らと共に伍(5人組)を組むことになる。決戦の地・蛇甘平原に到達した信たちだったが、戦況は絶望的な惨状だった」です。
『キングダム』は、原泰久による日本の漫画です。「週刊ヤングジャンプ」(集英社)にて2006年9号より連載中。第17回手塚治虫文化賞マンガ大賞受賞作品。2022年6月時点で累計発行部数は9000万部を突破。2020年12月に発売された60巻をもってシリーズ初の初版100万部を達成というこから、すごいですね!
2018年4月の第50巻達成を記念して『キングダム』の実写映画化が発表され、2019年4月に劇場公開されました。紀元前245年、中華西方の国・秦。戦災で親を失くした少年・信(山崎賢人)と漂(吉沢亮)は、大将軍になる夢を抱きながら剣術の特訓に明け暮れていました。やがて漂は王宮へと召し上げられますが、王の弟・成キョウ(本郷奏多)が仕掛けたクーデターによる戦いで致命傷を負います。息を引き取る寸前の漂から渡された地図を頼りにある小屋へと向かった信は、そこで王座を追われた漂とうり二つの王・エイ政(吉沢亮)と対面。漂が彼の身代わりとなって殺されたのを知った信は、その後エイ政と共に王座を奪還するために戦うことになるのでした。
じつは、この「キングダム2 遥かなる大地へ」を鑑賞することは少し躊躇しました。というのも、わたしはタイトルに2とか3とか数字が入っている作品、すなわち続編映画が嫌いなのです。「キングダム」の場合は1も観ているので問題ないように思えますが、基本的に映画は一話完結のものを好みます。というのも、前作を観ていても記憶力が悪いので、それまでのストーリーを忘れてしまうのです。一条真也の映画館「マトリックス レザレクションズ」で紹介した映画がいい例で、同作を観るのを楽しみにしていたものの見事に爆睡してしまいました。
しかし最近は、一条真也の映画館「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」や「トップガン マーヴェリック」で紹介した映画のようにシリーズ最新作が初見でも観客に感動を与えているという現象が起こっています。その理由は、最新作の中で過去のストーリーをうまく説明しているからだと思います。たとえば、登場人物が「あらすじ」をセリフとして語るとか。そして、それはストーリーがわからなくなって観客が混乱した「スターウォーズ」シリーズの失敗の反省からではないでしょうか? ちなみに、「キングダム」は日本映画界の「スターウォーズ」を目指しているそうですが、シリーズ2作目となる「キングダム2 遥かなる大地へ」の冒頭のストーリー説明はなかなか上手でした。
さて、前作の「キングダム」も戦闘シーンは迫力満点でしたが、続編である「キングダム2 遥かなる大地へ」の戦闘シーンはさらにスケールアップしていました。わたしはあまり戦争映画というのは好んで観ない人間なのですが、エンターテインメント超大作で話題になったものはなるべく観ることにしています。ただ、現在は世界で実際に戦争が行われている最中であり、大量の兵士が殺されていくシーンの連続を目にするのは複雑な心境になりました。そして野暮な話かもしれませんが、「戦争を娯楽として楽しむのって、どうなの?」と思ってしまう自分がいました。中国統一を目指す秦の野望が、現在の中国の国家主席である習近平や、ウクライナに侵攻したロシアのプーチン大統領の覇権主義とどうしても重なって思えるのです。
前作に続いて豪華俳優陣の競演でしたが、今回は羌瘣(きょうかい)を演じた清野菜名の熱演が光りました。デビュー作の「TOKYO TRIBE」(2008年)以来、アクション女優としても知られる清野菜名ですが、やはり殺陣は素晴らしかったです。ただ、映画の前半の羌瘣は顔が布で覆われて目だけが露出しているため目力がポイントだったのですが、残念ながら清野菜名の目は小さいので、そこがちょっと物足りなかったです。
ここまで書いてきて今知ったのですが、なんでも、羌瘣の役は清野菜名の前に土屋太鳳にオファーがあったそうです。土屋太鳳なら目も大きいし、体育大学出身で運動神経も良いし、適役だったかもしれませんね。でも、わたしが最も羌カイを演じてほしかったのは、ずばり広瀬すずです。彼女なら目が大きくて目力も抜群だし、キックボクシングをやっているのでアクションにも期待できます。また、羌カイは最愛の姉を亡くした仇を取るという設定ですが、その姉は広瀬アリスが演じれば姉妹共演で話題になったのではないでしょうか?
わたしがここで広瀬すずの名を出したのは、もちろん「キングダム2 遥かなる大地へ」の主人公の信を演じた山崎賢人との熱愛を知っているからです。2016年に公開された「四月は君の嘘」でダブル主演を果たした2人ですが、イメージ的に言っても、役者としての格から言っても、すごくお似合いだと思います。ちなみに、土屋太鳳は山崎賢人の元カノだと言われていますね。広瀬すずは、土屋と山﨑が別れるのを待って山﨑と交際開始したとネットにはまことしやかに書かれています。それにしても、山崎賢人クンはすごくモテるのですね!
「キングダム」シリーズで、山崎賢人演じる信に淡い想いを寄せる存在に、フクロウの着ぐるみを着た河了貂がいます。演じるのは、橋本環奈。今や押しも押されぬ大スターとなった橋本環奈ですが、芸能界で彼女の最大のライバルと言われているのが他でもない広瀬すず! 「一番好きな女性芸能人ランキング」とか「かわいいと思う20代の女性芸能人ランキング」などで、必ず1位が橋本環奈で、2位が広瀬すずというツートップ状況が続いています。その後には浜辺美波や今田美桜などが控えていますが、「キングダム2 遥かなる大地へ」で今をときめく橋本環奈と広瀬すずの共演が実現すれば大きな話題となったでしょうね。
「キングダム2 遥かなる大地へ」では、信も、その仲間たちも何度も戦場で死にそうになります。しかし、信も、清野奈々扮する羌瘣も死にません。「こんなところでは死ねない」という強い想いがあるからです。信は親友だった漂の死、羌瘣は姉貴分だった羌象の死というグリーフを抱えています。羌瘣は羌象の敵討ちのみを生きる目的としており、それを果たした自ら命を絶つ覚悟であると信に告白します。しかし、それを聞いた信は「お前は間違っている!」と羌瘣に言い放ちます。「亡くなった姉さんには夢があったはずだ。それをお前が叶えろ!」と言うのです。信には、漂と誓い合い合った「天下の大将軍になる」という夢がありました。復讐という行為もグリーフケアになりえますが、さらには、故人の夢や志を代わりに果たすことこそ究極のグリーフケアではないでしょうか?
この映画の主題歌は、Mr.Childrenの「生きろ」です。信も、羌瘣も、五人組の仲間たちも、みんな次から次に絶体絶命の境地に立たされますが、なんとか必死で生き延びます。まさに「生きろ」という主題歌タイトルはこの映画にふさわしいと思いました。最近思うのですが、タイタニック号が沈没するとき最後に救命ボートに乗り込んだ乗客とか、シンドラーのリストの最後の1人となったユダヤ人などは、ものすごい強運の持ち主だと思いますが、それ以上にその人には圧倒的な「生きる力」があったのではないかと思います。
最近、生命力の強さを感じたというか、絶体絶命の危機を乗り切った人物といえば、ブログ「参院選とカオスの日本」にも書いた暴露系YouTuberで参議院選に当選したガーシーの名が浮かびます。生死とは違いますが、彼が詐欺事件で逮捕確実となった「絶体絶命」の境地からわずか3ヵ月での大逆転劇には仰天しました。「詐欺師が国会議員になるとは!」とか「日本も終わり」といった声もあるでしょうが、ガーシーの鋼のメンタル、窮地を乗り切る知恵には感服せざるを得ません。わたしはN党を認めていませんが、ガーシーに目をつけて当選にまで漕ぎつけた立花党首の慧眼と行動力にも脱帽で、凄い軍師だと思います。コロナ禍で苦境にある業種の経営者たちも学ぶ点が多々あるでしょう。彼は日本を代表する巨大企業のオーナーの暴露を続けています。そのせいもあってか、命綱であるYouTubeのアカウントをBANされました。またもや絶体絶命となったガーシーですが、この日も驚くべき「苦肉の策」を他人のチャンネルで披露していました。
最後に、「キングダム2 遥かなる大地へ」の冒頭では、吉沢亮演じる秦の大王・嬴政、すなわち若き日の始皇帝の暗殺シーンが登場しました。それは信の助太刀もあって未遂に終わりましたが、現代中国で習近平を暗殺することはその何百倍、何千倍も難しいことでしょう。ロシアのプーチン大統領の暗殺も同様です。しかしながら、日本の安倍元首相は銃撃され、命を奪われました。山上徹也容疑者の目的は「安倍元首相を暗殺することによって、母親が洗脳されていた旧統一教会の悪行を天下にさらす」ことにあったと思いますが、結果的にその目的は果たされました。ある意味で、山上容疑者は「ミッション・インポッシブル」を完遂したわけで、その計画力と実行力、そして意思の強さというものを想像すると、慄然としてしまいます。