No.649


 11月19日、ブログ「サンクスフェスタ小倉」で紹介したイベントが開かれた日の夜、シネプレックス小倉で映画「ザ・メニュー」のレイトショーを観ました。予告編からホラー映画ではないかと想像していたのですが、実際はサイコ・スリラーでしたね。でも不気味なことはこの上ないので、怖い映画が苦手な人にはおススメできません。
 
 ヤフー映画の「解説」には、こう書かれています。
「孤島の高級レストランで振る舞われる極上メニューに隠された秘密を描くサスペンス。監督はドラマシリーズ『シェイムレス 俺たちに恥はない』などのマーク・マイロッド、製作には『バイス』などのアダム・マッケイらが参加。シェフを『グランド・ブダペスト・ホテル』などのレイフ・ファインズ、店を訪れたカップルを『ラストナイト・イン・ソーホー』などのアニャ・テイラー=ジョイと『トールキン 旅のはじまり』などのニコラス・ホルトが演じるほか、ホン・チャウ、ジャネット・マクティア、ジョン・レグイザモらが共演する」
 
 ヤフー映画の「あらすじ」は、「予約が取れないことで有名なシェフ(レイフ・ファインズ)が提供する極上メニューを目当てに、孤島のレストランを訪れたカップル(アニャ・テイラー=ジョイ、ニコラス・ホルト)。素晴らしい料理の数々にカップルの男性が感激する一方で、女性は言いようのない違和感を抱く。店内が不穏な様相を帯び始める中、シェフ自慢のメニューには、思いも寄らないサプライズが用意されていたのだった」となっています。
 
 この物語、ずばり、宮沢賢治の「注文の多い料理店」の現代版といった印象です。賢治の童話の舞台は山奥の料理店でしたが、「ザ・メニュー」の舞台は孤島のレストランです。ネタバレ覚悟で書くと、最後はスノッビッシュな客たち自身が料理のメニューになるところが共通しています。残念だったのは、グルメ映画としても楽しめるのかと思っていましたが、登場する料理がどれもこれも美味しそうでなかったこと。1人約20万円のコースだといいますが、食いしん坊のわたしでも、食べてみたい料理が1品もありませんでした。その最大の理由は、アニャ・テイラー=ジョイ演じるマーゴが指摘したように、レイフ・ファインズ演ずるシェフ・スローヴィクに料理への愛情がなく、お客に喜びを与えたいという「おもてなし」の心が皆無だったことです。最後に、チーズバーガーが出て来るのですが、味も見た目も大して良くない、何よりもお腹の足しにならないスノッブ料理へのアンチテーゼとなっていました。
 
 孤島のレストランに集った客たちは、みんな「ワケあり」です。夫婦もいれば、夫婦ではないカップルもいます。脱税をしている連中もいます。みんな何かしらの罪を犯しているのですが、それはシェフ個人にとっての私怨なのでした。客の中に落ち目の俳優が1人いるのですが、彼が主演した映画がつまらなかったという理由だけで彼は罰を受けることになります。シェフいわく、「何か月ぶりの貴重な休日に観た映画が最低だった」というのですが、これはもう逆恨みというか、理不尽ですね。でも、「ザ・メニュー」を観る前に、ある映画ブロガーの方と退屈な映画について意見交換しており、わたしは「よく考えたら、映画の2時間って長いですよね。つまらない映画を観て時間を消費するのは、人生をムダにすることになりますね」とLINEしたのでした。つまらない映画は罪な存在なのです!
 
 俳優陣の中では、一条真也の映画館「スプリット」「ラストナイト・イン・ソーホー」「アムステルダム」にも出演していたアニャ・テイラー=ジョイの存在感が抜群でした。「アムステルダム」では、マーゴット・ロビーの神々しいまでの美しさを前に霞んでいた感のあるアーニャでしたが、「ザ・メニュー」では見違えるように美しかったです。スタイルもよく、8頭身以上あることに気づきました。もともと彼女の出世作はロバート・エガース監督のホラー映画「ウィッチ」(2016年)ですし、「スプリット」も、ラストナイト・イン・ソーホー」もサイコ・ホラー映画の部類に入ります。1996年にアメリカのマイアミで生まれ、6歳のときにイギリスのロンドンに渡った彼女は、怖い映画と相性が良いのです。
 
 わたしが、アニャ・テイラー=ジョイの才能に唸ったのは、ブログ「クイーンズ・ギャンビット」で紹介したネットフリックスのドラマでした。冷戦期を舞台にチェスの天才少女を描いたヒューマンドラマです。リミテッドシリーズ部門作品賞を含む11のエミー賞と、ゴールデングローブ賞リミテッドシリーズ部門の作品賞と主演女優賞を獲得。全世界63ヵ国で1位、93ヵ国でTOP10を取った、2020年ネットフリックス最高の作品です。1950年代の児童養護施設で、人並外れたチェスの才能を開花させた少女エリザベス・ハーモン(ベス)は、薬物やアルコールへの依存症に苦しみながら、想像もしていなかった華やかなスターへの道を歩いていきます。アニャは、主役のべスを演じましたが、最高の熱演でした。もう、完全に彼女のためのドラマでしたね。チェスのドラマなので、対局しているときの表情が命ですが、彼女の表情の豊かさには感嘆しました。まだ未見の方は、ぜひ、「クイーンズ・ギャンビット」を御覧下さい。 
シネプレックス小倉に「レッドシューズ」の告知が!
 
 
 
 最後に、「ザ・メニュー」を観終わったわたしは、帰り際にシネプレックス小倉の通路で「レッドシューズ」の告知を見つけました。この映画は、 ブログ「二度目の映画出演」で紹介した、わたしの出演作です。雑賀俊朗監督の最新作で、朝比奈彩主演。共演に佐々木希、観月ありさ、松下由樹など。全編オールロケを行った北九州市での先行上映が12月9日から始まりますが、なんと、わたしが舞台挨拶で朝比奈彩ちゃんに花束贈呈することになりました。今から、ワクワクが止まりません!