No.1302


 7月3日の午前中、東京から北九州に戻りました。2日、一条真也の映画館「エレノアってグレイト。」で紹介したアメリカ映画をシネスイッチ銀座で観た後、TOHOシネマズ日比谷に移動して日本映画「君は映画」を観ました。上映時間68分の小品ですが、奇想天外なストーリーで面白かったです!
 
 ヤフーの「解説」には、こう書かれています。
「劇団ヨーロッパ企画を主宰する上田誠が監督などを手掛けたコメディー。下北沢に実在するビル『シェルボ下北沢』にある映画館・トリウッドを中心に、この街に集う人々のさまざまな日常を映し出す。『チャチャ』などの伊藤万理華、『ピアニストを待ちながら』などの井之脇海のほか、藤谷理子、前田旺志郎、諏訪雅らがキャストに名を連ねている」

 ヤフーの「あらすじ」は、「下北沢にある『シェルボ下北沢』というビルの2階にある映画館・トリウッド。劇作家として下北沢に拠点を置くマドカ(伊藤万理華)と、バンドマンとして三軒茶屋で活動するカズマ(井之脇海)はそれぞれ映画を観に行くが、なぜか彼らが体験する互いの出来事が映画となってスクリーンに映し出される」となっています。

 本作はなんといってもアイデアが命ですが、2つの映画が繋がるさまを描くのはけっこう難しいと思うのですが、矛盾なく表現したのはさすがですね。出演陣では、やはり伊藤万理華がひときわ輝いています。彼女は、圧倒的な表現力と多彩な才能の持ち主です。乃木坂46の初期メンバーとして活躍しましたが、特に「インフルエンサー」(2017年)での存在感が素晴らしく、同曲でWセンターを務めた白石麻衣や西野七瀬に負けていませんでした。乃木坂を卒業した後は、女優として数々の映画やドラマで高い評価を獲得。同時に、クリエイターとして個展を開催するなど、枠にとらわれない独自のスタイルが多くの支持を集めています。

 本作では「映画は宇宙だ」というセリフとともに、「シネマティック・マルチバース」の概念が示されます。これは映画において「マルチバース(多元宇宙・平行世界)」の概念を取り入れた作品群、あるいは本作を生んだ劇団「ヨーロッパ企画」が手がけた映画館と近所で織りなす同名の企画を指します。ハリウッド映画、特にマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)では、無数の並行世界を行き来する壮大なマルチバース・サーガが展開されています。この概念を主軸に置いた代表作には、一条真也の映画館「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」や「ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス」などがあります。

 さらに、マルチバースを描いた名作としては、一条真也の映画館「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」で紹介した作品があります。この作品を観て非常に感銘を受けたのは、主人公ピーター・パーカーをトム・ホランドが演じるだけでなく、過去2シリーズの主人公を演じたトビー・マグワイアとアンドリュー・ガーフィールドも、それぞれピーター・パーカーとして出演していることでした。つまり、この映画には3人のピーター・パーカー=スパイダーマンが登場するのです。これには度肝を抜かれるとともに、マルチバースの概念をうまく表現していると感心した次第です。本作「君は映画」によって、「映画は宇宙」というシネマティック・マルチバースを描いた名作が日本にも誕生したことを大いに喜びたいです!