No.900


 6月20日の夜、ブログ「東京でのグリーフケア式典」で紹介したグリーフケア関係のセレモニーに参加した後に、TOHOシネマズ日比谷でアメリカ映画「ナイトスイム」を観ました。ネットでの評価は非常に低いようですが、ホラー映画としての完成度もやはり低かったですね。
 
 ヤフー映画の「解説」には、こう書かれています。
「憧れのプール付き物件に越してきた一家を襲う恐怖を描いたホラー。『死霊館』シリーズなどのジェームズ・ワンと、『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』などのジェイソン・ブラムが製作陣に名を連ね、ブライス・マクガイアが監督を務めた。『オーヴァーロード』などのワイアット・ラッセル、『イニシェリン島の精霊』などのケリー・コンドンのほか、アメリ・ホーファーレ、ギャヴィン・ウォーレンらが出演する」
 
 ヤフー映画の「あらすじ」は、以下の通りです。
「元メジャーリーガーのレイ(ワイアット・ラッセル)は郊外のプール付きの家を中古で購入し、妻子と共に引っ越してくる。難病により早期引退を余儀なくされるも現役復帰を目指す彼が自身の理学療法も兼ねて購入したマイホームは、裏庭にプライベートプールがある憧れの物件にもかかわらず、そのプールは15年間も使われていないという不思議な物件でもあった。新居での生活を満喫する一家だったが、やがてプールに潜む謎の存在によって恐怖のどん底に突き落とされる」
 
 一条真也の映画館「エクソシスト 信じる者」「透明人間」「ゲット・アウト」で紹介した衝撃作を次々に世に放ち、ホラー・スリラー映画をアップデートし続けるブラムハウス・プロダクションズと、「ソウ」、「死霊館」など大ヒットホラーシリーズを生み出したホラー映画の神、ジェームズ・ワンが、一条真也の映画館「M3GAN/ミーガン」に続き、再び最恐タッグで放つ待望の最新作が「ナイトスイム」です。ホラー映画としては駄作なのですが、完全にダメというわけではなくて、所々に注目すべきシーンもありました。一言でいえば、残念な作品ですね。
 
「ナイトスイム」はプールにまつわる怪談ですが、水の怪談映画は日本の方が得意なような気がします。たとえば、Jホラーの歴史に燦然と輝く「リング」(1998年)や「仄暗い水の底から」(2002年)などが代表的な水の怪談映画ですね。ともに鈴木光司原作、中田秀夫監督の作品ですが、「リング」では井戸の底に潜む貞子の亡霊の恐怖が忘れられません。また、「仄暗い水の底から」はそのものずばり水の恐怖を描いたホラー映画で、天井の染みとか雨漏りを使って怪奇現象を描きました。それぞれ、「ザ・リング」(2002年)、「ダーク・ウォーター」(2005年)としてハリウッドでリメイクされました。
 
 古い家のプールにまつわる怪奇現象ということですが、冒頭に登場するレベッカという名の少女の幽霊だけならまだしも、映画が進行するうちに次から次に過去の亡霊たちが出てきて、ちょっと白けました。また、あたかもプールそのものが意志を持っているかのような現象が起きますが、これも観ていて、「なんか雑というか、奥ゆかしさがないなあ。もっと控えめな演出をした方が怖いのに......」と思いましたね。まあ、わたしも日本映画の恐怖演出に慣れているのかもしれませんが。
 
 主人公たちの新居で開かれたプールパーティーでも怪異が起こりますが、その後、父親であるレイは完全に壊れてしまって、子どもたちにも襲い掛かります。このへんは、スティーヴン・キング原作でスタンリー・キューブリック監督作品である名作「シャイニング」(1980年)でジャック・ニコルソンが演じた狂気の父親を連想しました。それにしても、プールにいったん入ったら、海みたいに広大な世界に通じていることに違和感をおぼえましたね。これでは、プールそのものが地獄への入口ではないですか。せっかく、ブラムハウス・プロダクションズとジェームズ・ワンがタッグを組んだのなら、もう少し繊細な大人のためのホラー映画を作ってほしかったですね!